Science

  • 2020.07.31
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第4回Science Cafe 開催(2020年8月24日)

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Science Japan OfficeよりScience Cafeのご案内をさせていただきます。

Science CafeではScience及び姉妹誌にその論文が掲載された日本人研究者の方を講師にお招きし、ご研究内容の紹介のみならず、その発見・成果に至った経緯やマインドセットなど、革新的研究にまつわる貴重なご経験をウェブセミナー形式でお話しいただきました。

講演日時

2020年8月24日(月) 15:00-15:40(予定)

講演者: 岡野 栄之先生  

慶應義塾大学医学部生理学教室 教授 

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掲載号:Science 2020年7月31日号
"Human-specific ARHGAP11B increases size and folding of primate neocortex in the fetal marmoset"
https://science.sciencemag.org/content/369/6503/546.full

ASCA Bulletin 22号 岡野先生インタビュー記事
「基礎臨床一体型」で治療法を開発する-iPS細胞を用いた神経変性疾患の治療を目指して

講演テーマ:「ヒト進化における大脳皮質拡大の謎の解明に向けて」

私たちは、ヒトの高次脳機能を支える大脳皮質の拡大の謎の解明に取り組んでいます。この目的のため、私たちとマックスプランク研究所のWieland Huttner教授、実験動物中央研究所の佐々木えりか部長の共同研究グループは、独自に開発した霊長類であるマーモセットの遺伝子改変技術(Sasaki et al. Nature, 2009)を活用したアプローチを行いました。本研究では、ヒトにしか存在しない遺伝子ARHGAP11Bを発現するトランスジェニック・マーモセットを作製し、胎生後期脳を解析したところ、大脳新皮質が拡大・肥厚し、脳回脳溝構造が、本来存在しない領域に形成されていました。これは、進化の過程で新しく出現する神経前駆細胞の一種であるbRG細胞の増加に起因していました。ARHGAP11Bの発現による大脳新皮質の拡大は、進化の過程で起きたヒトの脳の構造的な変化に関連していると考えられます。本講演では、ARHGAP11Bの出現の意義について、ヒトの大脳皮質の進化のみならず、精神疾患との関連についても議論したいと思います。

過去のScience Cafe

第1回:「セレンディピティ」と「ぶれ」と「ずれ」
東京医科歯科大学 統合研究機構 先端医歯工学創成研究部門 創生医学コンソーシアム 教授
武部 貴則 先生

第2回:「スロー地震ってなんだ?」
京都大学防災研究所附属地震予知研究センター 学振特別研究員 西川 友章先生

第3回:「免疫と共生」
慶應義塾大学 薬学部 生化学講座 教授  長谷 耕二先生

Science Café in Japan のご講演者およびご参加の皆様へ

Publisher of Science Family of Journals, AAAS のMr.Bill Moranからのメッセージ

ウェブセミナー開催時にいただいた質問について

ウェブセミナーの際にご質問いただいておりましたが、時間の関係でご紹介できなかったご質問について、岡野先生にご回答いただきましたので、以下の通りご紹介させていただきます。

質問1:ARHGAP11Bを導入した個体の実際の「知能」が気になるところですが、今回は胎児段階でのみ解析されたのでしょうか。今後の予定も含めて教えて下さい。

岡野先生回答:今回は、ニューロン産生が活発な胎生期101日目での大脳皮質の表現型に特化した解析を行なっています。行動様式などの生後の表現型の解析は、将来的な課題です。


質問2:ARHGAP11B遺伝子は大変面白いと思いました。一方で,hCONDEL遺伝子にはどのような機能/産物が考えられていますか?

岡野先生回答:hCONDEL配列は、チンパンジーを含むヒト以外の種で広く保存されているにも拘らず、ヒト(ネアンデルタール人を含む)においてのみ欠失している配列で583箇所に渡って存在します(McLean et al., Nature, 2011)。この583箇所の分布は、様々ですが、タンパク質のcoding領域やエンハンサー領域、また神経系の遺伝子内あるいは近傍に存在している場合が多いことが判ってきております。しかし、この機能の解析は、まだまだ不明の点が多いのが現状です。

質問3:一人の個体にCからGへのポイントミューテションが起こっても、種全体に広がるのは難しいと思います。なぜARHGAP11Bのミューテーションはこのようにホモサピエンスに広がることができたのでしょうか?


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