Science Pick Up! 「Science 11月20日号:ウイルスや免疫応答による組織損傷と組織による修復反応のバランスを調整することで、致死的なインフルエンザウイルス感染による死亡を防ぐ」

2025.12.08

  • Science

現在各地で猛威を奮っているインフルエンザですが、今回はその治療方法に関して、Science誌 2025年11月20日号に掲載された論文『Rebalancing viral and immune damage versus repair prevents death from lethal influenza infection(ウイルスや免疫応答による組織損傷と組織による修復反応のバランスを調整することで、致死的なインフルエンザウイルス感染による死亡を防ぐ)』について、著者の一瀬大志氏からのコメントとともにご紹介します。 

米国立アレルギー・感染症研究所(現:大阪大学大学院医学系研究科 免疫細胞生物学教室)の一瀬大志氏らのチームがScience誌11月20日号に発表した論文では、インフルエンザ感染のマウスモデルを用いて、免疫調整薬とウイルスの増殖を抑える薬を組み合わせた、現在利用可能な2つの治療法が検証されています。これらの治療法は、感染から4日後に投与しても致死的な損傷を克服することができたと報告されており、今後の臨床応用の可能性についても注目が集まりそうです。

【論文著者 一瀬大志氏からのコメント】 
インフルエンザ感染において、肺機能はウイルスや免疫応答自体による組織損傷反応と、上皮細胞などによる組織修復反応の総和によって規定されます。今回の研究では、重篤なインフルエンザ感染において、組織損傷反応が組織修復反応を上回る「転換点」を感染初期に通過すること、その後生存するためには、組織損傷と修復反応のバランスを修正することが必要であることを見出しました。

Lymphocyte Biology Section, Laboratory of Immune System Biology,  
National Institute of Allergy and Infectious Diseases, National Institutes of Health 
現)大阪大学大学院医学系研究科 免疫細胞生物学教室 
一瀬 大志

こうした研究が進展することは、医療現場にとっても、患者さんにとっても大きな希望となりそうです。ぜひ一度原著論文にも目を通してみてください。 

(執筆:松田)

Science 2025年11月20日号 
原著論文:Rebalancing viral and immune damage versus repair prevents death from lethal influenza infection

※本記事で引用されている翻訳、用語は機械翻訳をもとに作成しています。正確な内容は原文をご確認ください。
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