コラム

  • 2019.05.17
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社長ブログ更新:令和のサービスを考える 不可能が可能に

社長ブログ更新しました。

令和になって初めてのASCA Bulletin が仕上がった。22号、特集はCAR-T細胞療法だ。ゲノム研究と免疫学から生まれた新しい治療法である。オプジーボに代表される免疫チェックポイント阻害薬に続く画期的な治療法であり、米国での薬価は5200万円、その高額な金額も注目を集めている。その一人者である山口大学の玉田耕治教授にお話を伺った。

がん細胞を攻撃するT細胞やNK細胞などの免疫細胞を直接体内に注入し、免疫機能を高める治療法がある。今までの療法は、患者さんのT細胞などを増殖して体内に戻すものの、T細胞自体の攻撃力が弱いため、思うような効果を得ることができなかった。今回のCAR-T細胞療法だと、遺伝子の改変によって、効率よくがんを攻撃することが可能になる。なので、今回の副題は「がんの殺し屋の力を結集させる」。

薬剤はノバルティスファーマが申請したキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法「キムリア点滴静注」であり、インタビューが終わってすぐの3月26日に承認された。また、昨日、薬価が3394万円 になると発表され、今後は保険適応になる。米国では、効かなかったら患者は払わなくていい、という成功報酬型が採用されているが、日本国内ではこうした制度がないことなどから米国より低い薬価になるようだ。白血病など血液がん患者の一部が対象で、年250人弱、高額医療制度があるので、治療費の大部分は保険から賄われることになる。

オプジーボも年間3800万ほど、その金額の大きさを議論されたが、今回は1回の処方での値段である。治療に用いる細胞には極めて高い品質が求められるため、厳密な基準をクリアする細胞調整の施設で、慎重に細胞の培養や遺伝子操作をする必要があるため、システムと人材にコストがかかるのだと。先生も、コストダウンは大きな課題で、今の段階ではiPS細胞を使って製造することはできないものの、いくつかのハードルをクリアすれば革新的な変化が起こるのではないかとおっしゃっていた。

これからは、医療現場でどう使ってもらえるか、治療プロトコルの最適化やがん免疫療法の標準化を目指した取り組みをされていくのだという。

たとえ高くても、まずは、今まで助からない患者さんたちにとって待ち望まれていた療法である。先生はとてもわかりやすく熱く語って下さった。臨床成果を社会実装するには長い道のりに違いない。資金や人の確保も大変だ。それでも先生なら、あらゆる難題を、不可能を可能にされてしまうのではないか、と思ってしまった。

ASCAも、今までできないと言われていたサービスを可能にする仕組みを編み出している最中だ。機械翻訳を使うだけではなく、プレやポストやあらゆるプロセスを組み合わせる。人による作業を限りなく減らし、働き方の改善にもつなぎたい。市場のニーズに応えるために、不可能を可能にするサービスを考えていく。令和のASCAに請うご期待。

詳細こちらへ https://asca-co.tumblr.com/

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