2026.01.27
関西大学外国語学部の阪本章子教授が、英国翻訳通訳者協会の会員である翻訳者381人を対象に、 MTPE(ポストエディット)が翻訳者の仕事満足度に与える影響を調査され、その結果をASCAの忘年会で披露くださいました。

ほとんどの項目で大学教員より高い数値が出ていて、特に「労働環境」は高得点です。ただ、「仕事のコントロール感」は低く、フリーランスの方は翻訳会社からの仕事を自分でコントロールできない、要望を聞いてもらえない、という悩みがあることが伺えます。

6項目のうち4項目は中間点より高い点を示したものの、「キャリアの成功感・持続可能性」、「機械翻訳(MT)の価値 肯定感」に関しては低い数値です。AIの登場で、翻訳と言う仕事にどれぐらい持続性があるか、という不安、また、機械翻訳が自分の仕事の創造性や効率アップなどにつながっているのか、という不安の結果だと考えられます。評価方法や価値など、翻訳の概念そのものにも変化が生まれてきているのでしょう。
3.どんな翻訳者の人がPEに対して前向きに取り組んでいるか
対象の会員の中で、エレメンタリーレベルの人が多いという結果とともに、
などが上がっています。

PEの仕事量が増えると、経験を積めば積むほどPEに対する前向きな気持ちも上がります。一方、PEの仕事量が多くても、仕事のコントロール感が低くなり、翻訳会社など雇用者との関係性は低くなるなどの負の相関も見られます。

非常に強くそう思う人と、全然そう思わない人などいろいろな意見があるものの、「仕事が楽しい」「十分な仕事量がある」「報酬が公平だ」と感じている人ほど長く仕事を続けたいと回答しています。一方、「MTPEの仕事量が多い」「MTPEに前向き」「PEは楽しい」と思っている人が必ずしも長くPEの仕事を続けたいとは思っていないという結果がでました。
今後はMTPEが主流になる中で、優秀な翻訳者さんには長くPEの仕事も続けてもらわないといけないわけで、PEへの積極性と仕事を続けたいという気持ちが相関するようになってほしいです。
PEの仕事がポジティブな労働生活につながるように、今後は産業界での施策も必要だと考えます。
日本での調査も計画中で、協力いただける方、募集中。
とても興味深いデータですが、PEというより、CATなどのITツールの普及も大きな影響を与えているのではと推測します。限られた条件だったとしても、その中で最大の成果物を提供いただくのがプロ翻訳者、その翻訳者の皆様と信頼関係を築き、運用するのが翻訳会社。AIが進化しても、人による確認は絶対に必要です。品質に関する目的や方法を翻訳者の皆様と共有し、価値の最大化を図りたいと考えます。
翻訳事業は安泰ではありません。AIやツールをうまく活用し、5年以上、ずっと仕事を続け、進化できるよう、翻訳者の皆様と未来を創っていきたいと思います。
石岡映子(社長)