2025.11.11
11月8日(土)に関西大学 東京センターにて開催された「今このAI時代だからこそ、通訳翻訳」に参加しました。
講演会では外国語学部の阪本 章子先生と高橋 絹子先生が登壇され、それぞれ「翻訳」と「通訳」についてご講演されました。
「AIが発達した今、翻訳を勉強する価値はありますか?」
阪本先生のご講演ではAI翻訳や生成AIが興隆を極める現在において、果たして「翻訳」を勉強する意味はあるのかという問いかけから始まりました。
その上で、AIによる職業淘汰のランキングがAIを開発している会社から発表されているという指摘や、AI翻訳による字幕生成の取り組みが誤訳によって終了したテレビ局の例示などがあり、AIには人間の翻訳者には存在する「翻訳者の複雑な認知プロセス」が無いということをお話しされていました。
「翻訳者の複雑な認知プロセス」とは、たとえば原文の作者が「こう伝えたい」と考えていたものを翻訳者が推察し、それに合わせて翻訳をすることです。これは人間の翻訳者であればできることですが、AIは純粋に入力されたものに対応する応答を返すだけなので、この「翻訳者の複雑な認知プロセス」は存在しません。
阪本先生がこの認知プロセスの欠如の例で挙げていたのは立憲民主党の小熊議員の発言「不良のカツアゲ」が意図していた「A teenage bully」ではなく「Extorted by a delinquent」という苛烈な表現でAI翻訳が訳出し、それによって世界中に広まった事例でした。
医薬分野の翻訳においても、「翻訳者の複雑な認知プロセス」というものは重要です。弊社アスカコーポレーション(以降 ASCA)は医学・医薬に特化したAI翻訳「SciLingual」が医薬の分野をくみ取った訳出をしてくれますが(例:Site→実施医療機関、IP→治験薬など)、それでも基本AIなので学習データに無いものに対する応用は難しいものがあります。
AI活用がお客様の中でも、アウトソーシングの領域でも進む医薬翻訳ではありますが、翻訳者という「人間」の力というのは重要な立ち位置を占めています。
最後に、阪本先生は「翻訳のスキルと知識をもち かつAIを活用できる人材は求められるようになる」という風に講演を締めくくっていました。
ASCAも自分も、このAI時代において「AIと競争」するのではなく、「AIやテクノロジーとの共存」をより一層模索していかなければいけないと感じた素晴らしい講演でした。
(執筆:営業部 古谷)
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