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  • 2019.06.04
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社長ブログ更新:失敗から学ぶ~NEJMの報告

ASCAでは定期的に、論文などを題材にランチ勉強会を開催しているが、今回の題材はNew England Journal of Medicine (NEJM)4月11日号から紹介された、アルツハイマー型認知症治療薬の新薬開発に関する研究。なんと、"失敗"を取り上げた論文である。
Original articleだけでなく、Editorial やCorrespondenceにも取り上げられている。

Original articleでは「Randomized Trial of Verubecestat for Prodromal Alzheimer's Disease (前駆期アルツハイマー病に対するベルベセスタットの無作為化試験)」として取り上げられ、Editorialでは「Lowering of Amyloid-Beta by β-Secretase Inhibitors -- Some Informative Failures(β-セクレターゼ阻害薬によるアミロイドβの減少 ― 一部有益な失敗)」、Correspondentでは「Preliminary Results of a Trial of Atabecestat in Preclinical Alzheimer's Disease(前臨床期アルツハイマー病に対するアタベセスタットの試験の予備的結果)」と。同じ研究を3か所に取り上げ、それもうまくいかなかった研究内容である。

論文の結論には、「ベルベスタットにより認知症の臨床的評価は改善されず、一部の指標では、ベルベスタットの投与を受けた患者の方が、プラセボ投与を受けた患者よりも認知機能と日常生活機能が不良であることが示唆された」と。翻訳者なら、うっかりプラセボと取り違えた?とあわてるかもしれない。それほど衝撃の結果報告である。

いい結果が出なかったら投稿をあきらめる、効果が認められなかったら論文にならない、とずっと思ってきたから目からウロコだった。

弊社の論文エキスパート曰く、エコの観点からも、今後の研究の失敗をどれほど防ぐことができるか、どれほどのエネルギー、コストを削減できるか、が今や出版社のミッションの1つでもあるので、その意味でこの研究の意味は大きいのだと。

臨床研究にもなると、本当に多くの人が関わることになる。時間やデータ、エネルギー、お金を無駄にしないためにも、うまくいったこと以上に、失敗を公開することがとても重要なのだ。

トラブルや失敗をプラスに考える、失敗を共有する、失敗は成功の元、などはビジネス界では当たり前ではあるが、やっと研究界にも、それもNEJMから。NEJMだからこそ。

勉強会の講師は「田村房子」、会社を一緒に立ち上げたパートナーだ(現在は顧問)。NEJMを30年以上購読していて、昔は丸覚えするほどの読み込んでいたのだと。彼女の英語はNEJM育ちなので、論理性がある。

その彼女が選んだ今回の論文だ。

今まで彼女と一緒にどれほど多くの失敗をしてきたことだろう。失ったものもあるが、得たものはもっと大きい。

論文は以下から:
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1812840
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMe1903193
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc1813435

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