コラム

  • 2018.10.02
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本庶先生ノーベル賞!

ついに本庶先生のノーベル賞受賞が決まった。知らせを聞いて心臓がまだドキドキしている。スウェーデンのカロリンスカ医科大が1日、今年のノーベル医学生理学賞を、京都大の本庶佑特別教授と米テキサス大MDアンダーソンがんセンターのジェームズ・アリソン博士に贈ると発表した、と。体内の異物を攻撃する免疫細胞の表面に「PD-1」という免疫の働きを抑える分子を発見。この分子はがん細胞に対して働くのを妨げ、免疫ががんを攻撃し続けられるようにする画期的な薬が開発されたというわけだ。
かのオブジーボを代表に、今では複数の種類の薬剤が大きな成果を上げている。

私は15年ほど前、本庶先生の京都大学の研究室に数回訪れたことがある。どちらもScienceがらみだ。エディターが来日するに当たり、当時Editorial Boardメンバーの一人だった、本庶先生に会いたいという。せっかくなのでScienceの投稿についてのセミナーをしたい、のだと。恐る恐るお願いしてみたところ、引き受けては下さった。当日そのエディターを連れていったが、その時の緊張した雰囲気は忘れない。5時からのセミナーなのに直前になっても人が集まらない。心配していると、5時になると医科学研究所の廊下を秘書がベルを持って歩くのだ。チリン、チリンと。すると各研究室から人が一気に出てきて部屋が一瞬でいっぱいになった。一瞬の時間も無駄にしない?セミナーは活発な議論で終わったのだが、圧倒されたのと、あのベルの音が未だに耳を離れない。

まさにあの部屋からすごい研究が発見され、そして医学の常識を変えた。
ノーベル賞はやっぱりすごいのだ。
(あの研究室の秘書さんたちには真剣に頭が下がった)

(by 石岡 映子)

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