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  • 2018.09.20
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医療現場のつぶやき : 20年後の地域医療ってどうなっているのでしょうか

第4回「20年後の地域医療ってどうなっているのでしょうか」

先日、自分の研究分野に関して20年後どのようになっているだろう、なんてボーっと考えを巡らせておりました。
医療に関して言えば、20年後はどうなっているのでしょうか。

私の研究方法論のバックグラウンドは認知心理学です。そして研究テーマは障害支援です。
自分の専門分野から医療について考えますと、一番近くて興味を持っているのは地域医療です。

現在、地域医療構想という形で医療が進んでいるわけなんですけど、そこの対象になる方の多くは高齢者なんですよね。
日本の人口推移をみても高齢者率が高まるわけですから、当然です。
人間は高齢者になるとどうなるのか。いろんな機能が衰えてきます(もちろん歳をとること自体にネガティブな評価をしているわけではありません)。いろんな機能が衰えてくると、言うなれば様々な部分において軽度の機能障害をもつということになるでしょう。
そうなるとおそらく「治す」というアプローチに限界が出ると思います。
それに対して、現在行われていることが「機能の低下を防ぐ」ためのリハビリというアプローチです。

でも、身体機能全般が衰える中でのリハビリは効果が上がりにくいですよね。
なので、機能低下を防ぐというよりは「別の方法で機能を代替する」というニーズが高まると考えられます。

実はいろいろな身体機能や認知機能を代替するテクノロジー自体はすでに我々の身の回りに多く存在しています。
まずはスマホですよね。スマホがないとコミュニケーションやスケジュール管理や情報取得に大きな問題が生じる方が多いでしょう。
われわれはこの手の中のデバイスにかなり依存しながら生きていて、そのデバイスの能力を自分の能力の一部だと錯覚して生きているわけです。
他にももう少し観察すれば、タブレット端末、ロボット掃除機、スマートテレビ、スマートスピーカーなど、多くのデバイスに身体機能・認知機能を支援してもらいながら生活していることに気づくでしょう。
20年後にはAI、自動運転、いろいろな技術が日常生活に食い込んできているということが予想できます。

そのように生活が完全に様々なスマートデバイスに囲まれて成立したときを想定して地域医療について立ち返って考えてみると、医療のあり方そのものが変わってくるだろうなと思います。

センサーの技術は進み、おそらく着ている服や寝ているベッドから健康状態を把握できるようなデータが取得されるでしょう。大量のデバイスから大量に取得されたデータはもはや人間個人では処理できませんから、コンピュータが自動で処理するということになります。コンピュータは特定の基準に応じて健康状態のデータを分析し、人間に示すでしょう。

そのような社会においても「病気」については現在と治療方針は変わらないかもしれません。
ただ、現在においても「病気」という枠ではくくりきれない問題、例えば認知症による周辺症状のようなものについてはどうでしょうか。
思い出せないことについて、自動的に情報ができて思い出させてくれる装置ができたり、行きたい場所に安全に連れて行ってくれる自動運転車椅子ができたり、うまく考えがまとまらないことをまとめて伝えてくれるロボットができたり、そうなった時に医療の仕事はこれまでとはちょっと変わってくるのではないかと思います。

「治す」ことから「うまく生きられるように環境を整える」ことになるのかもしれないと思います。

滋慶医療科学大学院大学 医療管理学研究科 准教授
岡 耕平

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