ASCA Academy

  • 2022.06.30
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ASCA Academyライティング講座 講師へのインタビュー<論文コースの倉冨講師>

アスカコーポレーションは、医薬・サイエンス分野のライティング技術を学ぶASCA Academy ライティング講座を2020年1月から開講しています。

主にCTDなどの治験文書を扱う「治験コース」と、論文(臨床・非臨床)を扱う「論文コース」の2つのコースをご用意しております。

今回は、その「論文コース」の一部講義を担当するシニアリンギストの倉冨講師へインタビューをおこないました。

ぜひご覧ください!

<第5期論文コースの詳細はこちらをご覧ください>

Q:シニアリンギストとは、どのような業務を行うのですか?

A:難しい質問ですが、端的に言えばライティングおよびQCプロセスのマネジメントです。メディカルライティング・エージェンシーのシニアメディカルライターと同義の役割と考えて頂くと分かりやすいかもしれません。具体的には、マネジメント業務(論文関係者間の調整、原稿レビュー、社内ライティングプロセスの管理・改善等)、ライター業務(個別のライティング、QC等)の両方に携わっています。

Q:大学時代の研究テーマは何ですか?

A:修士課程の研究テーマは、細胞増殖抑制因子の細胞内シグナル伝達の解析です。標的タンパク質がどのようにシグナル伝達系に影響を及ぼすかを、細胞生物学的手法(トランスフェクションやウエスタンブロッティング等)を使って解析していました。この時に学んだ細胞内シグナル伝達の知識が、今でもがん領域のプロジェクトに携わるときに役立っています。

博士課程の研究テーマは、双極性障害に関連するエピジェネティックな修飾の探索です。臨床サンプルを用いた分子遺伝学的研究であり、臨床研究の進め方や統計解析に関する知識は今も常に役立っています。

Q:論文ライティングの際に、最も大変なことは何ですか?

A:厳しいスケジュールの中で作業を進めることが最も大変だと思います。作業期間は品質に影響を与えうるため、クライアントには受注前やキックオフの段階で標準的なタイムラインのお話しをしますが、切迫した理由により、どうしても厳しいスケジュールになることもあります。負荷のかかる作業となる場合もありますが、このような中でライターとして学びを得ることもあります。

Q:未来のライターに向けてアドバイスをお願いします。

A:私はアカデミックで教員をした後にメディカルライターになりましたので、研究経験のある方向けにお話しできればと思います。

研究職とメディカルライターは似ているように見えて真逆の職業です。研究職は、自分の専門分野を深く掘り下げて、新たな「知」を生産します。自分で研究費を取り、研究を進め、1st authorになる論文は、概ね自分の方針で書くことができます(もちろん共著者とともに書き進めますが)。

一方、メディカルライターは、原則的に自分で「知」を生産しません。メディカルライターの仕事は著者の支援であり、著者からの指示を受けてライティングを進めます。そして論文執筆の支援を通じて、著者が発見した新たな「知」が世界に広がってゆくのを助けます。「巨人の肩の上に立つ」のが科学の姿であるとするならば、メディカルライターはその巨人が成長するのにとって今や不可欠な存在です。

 私は、メディカルライターにとって最も重要な資質は知的好奇心だと考えます。コミュニケーション能力、柔軟さ、語学力なども必要ではありますが、知的好奇心は仕事に対する強いモチベーションになると思います。多様な分野の研究者とともに論文執筆に携わり自分の知識のすそ野を広げてゆく、それがとても楽しそうだと思える方はメディカルライターを検討してみてはいかがでしょうか。


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