2025年9月30日

株式会社アスカコーポレーション

「翻訳は共生社会を支える重要な社会基盤である」

世界翻訳の日、翻訳‧通訳企業5社が共同声明

― 災害‧医療‧教育を支える「翻訳の社会的役割」を発信 ―

9月30日の世界翻訳の日*は、翻訳の社会的役割に光を当て、その意義を世界中で共有するために設けられた国際的な記念日です。 この日に合わせて、翻訳や通訳を⼿がける企業5社は「翻訳は共生社会を支える重要な社会基盤である」という共同声明(以下、本声明)を発表いたします。
近年、グローバルビジネスの加速だけでなく、日本社会では外国籍住⺠やインバウンドの増加、外国籍労働者の受け⼊れ拡⼤などが進んでいることを背景に、建設‧医療‧防災‧交通といった社会基盤領域においても翻訳が⽋かせなくなっています。
本声明は翻訳が言語の変換だけではない、社会的意義があるということを改めて広く社会にアピールすることを⽬的とし、以下の企業による連名で⾏われています。
なお、本企画の原稿作成‧全体調整は八楽株式会社(本社:東京都渋⾕区、代表取締役:坂⻄優、以下八楽)が担いました。

※世界翻訳の日=聖書をラテン語に翻訳した聖ヒエロニムスの命日にちなんで国際翻訳家連盟が制定し、2017年には国連によって国際翻訳デーとして承認されました。

共同声明のメッセージ


日本国内で翻訳が必要な時代へ社会構造が変化

日本では、外国籍住⺠の定住化や観光を⽬的としたインバウンド需要の拡⼤に加え、企業の海外進出や外国人労働者の受け⼊れも進み、多言語での情報提供が避けられない状況になっています。これまで翻訳は、国際企業が海外市場に進出する際の発信や、多国籍ビジネスを支える不可⽋な機能として活⽤されてきました。しかし、日本国内の社会構造の変化により、翻訳が果たす役割はさらに広がっています。
日本に暮らし、滞在する外国人が増えた結果、災害対応や医療現場、公共交通や教育といった社会基盤の領域においても、翻訳は住⺠の安心‧安全を守り、共生社会を支えるための基盤として⽋かせません。
多言語での情報発信は、外国籍住⺠やインバウンドのためだけでなく、日本社会全体をより安全で持続可能にする取り組みでもあります。

翻訳は、単なる「言語の変換作業」ではありません。

人々が⾃らの安全や生活に関わる情報に平等にアクセスし、誤解なく理解できることは、社会の基本的な権利のひとつです。多言語対応は社会全体をより安全で持続可能にする取り組みであり、翻訳はその担い⼿として不可⽋な社会基盤であることを、私たちは改めて強調します。

翻訳が重要な社会基盤となっている事例

本声明では、翻訳が社会を支える重要な社会基盤としてどのように機能しているかを具体的に示すため、参加企業が実際に携わった事例を紹介します。これらの事例は、翻訳が人々の生活に役立ち、安心や共生を支える存在であることを示すものです。

日本に存在しなかった希少疾患の治療薬をアンジェス株式会社が海外の製薬会社から導入し日本において承認申請するにあたり、従来の手法では翻訳作業を含め準備に膨大な時間とコストがかかる恐れがありました。そこで、ライフサイエンス分野に特化したAI翻訳を活用することで翻訳プロセスを大幅に効率化。従来は1か月以上かかる翻訳を最短翌日に納品できるAI翻訳を活用することにより、日本における希少疾患のドラッグロス解消に貢献しました。
AI翻訳技術の導入は、希少疾患領域における「ドラッグロス」の解消と医療を支える重要な社会基盤の強化の一翼を担っています。

複数の国際機関や政府機関が公開する国際的な経済制裁者リスト。日々更新が続くその情報の正確かつ迅速な把握は、金融機関のコンプライアンス体制の維持・強化には不可欠です。当社では、こうした経済制裁対象者リストの定期的な確認・差分抽出・人名の日本語化・納品までを一貫して対応しています。
この取り組みにより、金融機関が経済制裁対象者との取引を未然に防ぎ、国際的な規制遵守を果たすための基盤整備に貢献しています。
翻訳は、社会の安全と信頼を支える「静かな力」として、金融機関の安心・安全な業務運営を支えています。

公益社団法人日本空手協会では、日本の伝統武道文化を正しく伝えるため、国内外の関係者に向けた多言語での情報発信を進めています。専門資料の翻訳を支援することで、道場関係者や愛好者が国境を越えて理念や技術を共有できる環境を整備しました。
翻訳は日本文化の継承と国際交流を支える基盤として、地域社会と世界を結び付けています。

某国立大学では、留学生や外国籍研究者の受け入れが進む一方、教材や事務文書が日本語中心で、多言語対応が課題となっていました。文献や教材、招へい資料、日常的な事務連絡まで幅広く翻訳を支援し、日本語・英語に加えてタイ語など多様な言語での発信を可能にしました。
これにより、外国人学生の誘致や教育・研究活動がより活発になり、教職員・学生双方が安心して情報を共有できる環境づくりに貢献しています。
翻訳は教育と研究の基盤を支える重要な役割を果たしています。

長野県箕輪町では、外国籍住民への情報提供が課題となっていました。同町は「国籍に関係なく住民に情報を届ける」方針のもと、防災情報や生活ガイドを多言語で発信しています。
翻訳支援ツールを活用することで、非ネイティブの職員でも正確かつ迅速に翻訳できるようになり、災害に向けた備えにかかる負担が軽減しました。その分、住民生活の向上に向けた施策に時間を割けるようになり、翻訳は多文化共生を支える基盤となっています。

学術的な視点からも注⽬

翻訳の社会基盤としての役割は、実務だけでなくアカデミックの領域でも注⽬を集め始めています。今回の共同声明にあたり、翻訳研究を専⾨とする⽴教⼤学の⼭⽥優教授はコメントを寄せました。
「翻訳は、災害や医療‧教育など、人々の安心に直結する社会基盤です。さらに『Translation as a Catalyst for Human Rights(人権を推進する原動⼒としての翻訳)』という学術パネルが開催される* など、翻訳が人権の擁護やインクルーシブな社会づくりに不可⽋であることが国際的にも認識され始めています。今回の共同声明を通じて、その意義を広く共有できればと願っています。」

プロフィール写真
⼭⽥優 教授(Masaru YAMADA)
⽴教⼤学
異⽂化コミュニケーション学部∕研究科

* 第11回 European Society for Translation Studies (EST) Congress パネルタイトル:「Global Visions, Local Voices: Translation as a Catalyst for Human Rights」 企画者:Aline Larroyed, Patrick Cadwell 開催地:英国リーズ⼤学(2025年7月)

参画企業


参画企業


【お問い合わせ先】

八楽株式会社 広報チーム
広報マネジャー 佐藤一穂
メール:ichiho.s@yaraku.com

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https://www.asca-co.com/