2009年8月

若手研究者・医師に英語論文を自分でどんどん書いてほしいと願って、「インターネット時代の英語医学論文作成術-プロが使っている究極のワザ」(中山書店)(以下、英医論作)を著しました。その後、あまたの学術誌に新しい日本人投稿者が続々出現し、サイエンス誌にも驚くほど多くの日本人著者が登場しました。しかし、まだまだ悩む方が多いのも実情です。Season 1では、サイエンス誌の英語を使って科学英語を勉強するコーナーとして活きた科学英語表現フレーズを、Season 2では、英語で書く医学論文の基本構造から応用までをそれぞれ12回に分けて紹介しました。今回はSeason 3として、科学文書で使える「言い換え」表現を皆様にお届けします。コピペしながらつい同じ表現を使いがちですが、別の表現を工夫することで論文が輝きますよ。

アスカコーポレーション取締役
田村房子

「一つの英語論文で同一表現は使わない方がいい」のはよくご存じでしょう。Abstract, Introduction, Discussionでは、同じ内容が繰り返し述べられますが、表現は少しずつ変わっています。そのあたりをまず探っていきたいと思います。言い換えに焦点を合わせると、意外に理解しやすくなります。加えて、英語を読むのも書くのも楽になります。どんどん読んで、どんどん書きましょう。それではまず、現代人に広がる不安症の新薬候補が扱われているScience 2009 [July 24]; 325: 490、Translocator Protein (18kD) as Target for Anxiolytics Without Benzodiazepine-Like Side Effects

 
1. 最初に単語レベルで同じ意味のものを見つけましょう。
antianxiety agents = anxiolytic agents = anxiolytics translocator protein ligands, such as XBD173     は、左側の概念・言葉に右側の概念・言葉が含まれることを示します。)
anxiolytic effect = anxiolytic efficacy = anxiolytic potential
more favorable side effects = less severe side effects
 
2. 次の文から、関係代名詞thatandと言い換えできるのがわかりますね。
1) Anxiety disorders are highly prevalent disabling disorders that frequently turn into chronic clinical conditions.
2) Anxiety disorders are highly prevalent disabling disorders and frequently turn into chronic clinical conditions.
これが実感できれば、しめたもの。始めから後戻りせずスムーズに読んで理解できますよ。
 
3. さらに、withandで言い換えできます。
1) XBD173 exerts rapid anxiolytic and antipanic effects with a more favorable side-effect profile than that of benzodiazepines.
2) XBD173 exerts rapid anxiolytic and antipanic effects and has a more favorable side-effect profile than that of benzodiazepines.
 
上記を踏まえて、Abstractの次の一文はどのような言葉に言い換えられているでしょうか。
Anxiolytic agents retain the rapid anxiolytic potential of benzodiazepines but lack their unfavorable side-effects. 
 
答えは次回にお届けしますからお楽しみに。こんな具合に表現は変えることが可能です。自身の英語を磨く意味でもどんどん言い換えてください。来月またお会いしましょう!