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ASCA

 第11回 ガンマカメラとSPECT装置

シンチグラフィーやSPECT検査において、単光子放出核種(シングルフォトンエミッタ)(本シリーズ第2回参照)の体内分布とその時間経過を画像化するために用いられる装置が、ガンマカメラ(シンチカメラ)です。発明者の名をとってアンガー型ガンマカメラとも言います。

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図1:ガンマカメラの構造   図2:ガンマカメラ/SPECT装置(2ヘッド型)

ガンマカメラにはシンチレーション検出器(本シリーズ第10回参照)が使われています(図1)。シンチレータはNaIの一枚板の結晶で、その後ろに数十本の光電子増倍管が並んでいて、さらにシンチレータの前面にはコリメータと呼ばれる小さい穴が多数開いた鉛またはタングステン製の板が置かれています。コリメータの穴は平行に開いているタイプのもの(平行型コリメータ)が多く使われ、穴に平行に入射するガンマ線はコリメータを通過するのに対し、穴に対して斜めに入射するガンマ線は遮断されるので、コリメータ前方の空間に分布するRIをちょうど写真に撮るようにシンチレータ面に写し出すことができます。ガンマ線は、シンチレータに到達して光に変わりさらに光電子増倍管によって電気パルスに変わりますが、どの光電子増倍管からどれだけのパルスが出力されたかによって、シンチレータ面のどの位置にガンマ線が入射したかを計算します(注1)。入射位置の情報は、視野をタテヨコ128×128といったマス目にわけ、各マス目にてカウントした放射線の数をコンピュータに記録してゆきます(注2)。別に、光電子増倍管のパルスの総和からガンマ線のエネルギーを計算し、目的とするRIから直接入射したガンマ線を散乱線などから区別します(注3)。

ガンマカメラは平面画像(planar image)を撮像しますが、ガンマカメラを回転させてさまざまな方向から撮影した平面画像を収集し、それをいわゆるCTの原理を用いてコンピュータで再構成(reconstruction)し断面のRI分布を画像化するのが、SPECT装置です(図2)。図2の装置は、ガンマカメラ検出部が2つ付いているので2ヘッド型といいます。

全身画像を撮像するときは、ガンマカメラ(または寝台)をスライドさせながら撮像します。図2の装置は寝台がトンネルを貫通するようにスライドし、同時に前面と後面の全身画像が撮像できます。

コリメータにはさまざまな種類があり、目的に応じて交換します。まず対象とするガンマ線のエネルギーによって、薄いもの(低エネルギー用)と厚いもの(高エネルギー用)を使い分けます。また、穴の大きさと隔壁の厚さによって空間分解能と感度がかわり、高分解能(低感度)用と高感度(低分解能)用があります(注4)。

ガンマカメラの特徴として重要なことは、コリメータ面から離れるにつれて空間分解能が劣化することです(もちろん感度も下がります)。図3のように、コリメータ面から遠い線源から発したガンマ線は隣の穴をも通り抜けるため、シンチレータ面の広い範囲に入射するからです。したがって、シンチグラフィーやSPECTの検査の際には、ガンマカメラを患者にできるだけ接近させて撮像します。

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図3

コリメータには、特殊なものとして、SPECT用で、コリメータの穴の向きが平行でなく被写体内の一点に収束するように(ただし軸方向は平行に)開いているファンビームコリメータがあり、視野は狭くなりますが分解能と感度の両方が向上します。さらに、いわゆる針穴写真機の原理で、漏斗型の筒の先端に穴が1個だけあいているピンホールコリメータがあり、小さい対象物を高い分解能で撮像できます(ただし感度は低く、画像がゆがむ)。

注1)位置演算回路といいます。
注2)このマス目の数をマトリックスサイズといいます。撮像された画像では、視野は画面、マス目は画素(ピクセル)となります。
注3)波高分析回路あるいはエネルギー弁別回路といいます。もとのガンマ線のエネルギーが決まっているので、出力エネルギーのスペクトルを描かせると、そのエネルギー値にピーク(フォトピークという)が現れます。散乱したガンマ線はエネルギーが低いので、区別することができます。
注4)一般に核医学イメージング装置では、空間分解能(単に分解能ともいう)と感度は、二律背反で一方を向上させると他方が劣化します。分解能がよいと細部まで描出できますが、感度がわるければ十分なカウントが得られず雑音(ノイズ)の多い不鮮明な画像となります(本シリーズ第5回の注1参照)。