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    <title>核医学文献情報研究会</title>
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    <title>第36回 放射性医薬品の開発手順</title>
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    <published>2011-04-04T08:38:49Z</published>
    <updated>2011-04-04T08:56:38Z</updated>

    <summary>放射性医薬品（放射性薬剤）については、本シリーズ第６回でそのあらましを述べました...</summary>
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        <name>アスカコーポレーション</name>
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        <![CDATA[<p>放射性医薬品（放射性薬剤）については、本シリーズ第６回でそのあらましを述べましたが、今回は新規のPET用またはSPECT用の放射性薬剤を診断薬として開発する、すなわち、研究段階を経て実際に患者に投与して安全性と診断的有効性を実証してゆくプロセスを説明します。薬の開発という意味では一般の治療薬の開発と似ていますが、放射性診断薬特有の性質があるため、異なる部分もあります。</p>   <span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img width="478" height="248" alt="no.36.JPG" src="http://www.asca-co.com/nuclear/no.36.JPG" class="mt-image-none" style="" /></span><p style="text-align: center;">新規放射性診断薬の開発手順</p><p>（１）スクリーニングと非臨床試験</p>  <p>新しい放射性薬剤の研究開発は、まず化学構造を考えながら化学的にさまざまな候補化合物を合成します。その際には、化合物の構造に加えて、放射性同位元素で標識する方法や標識位置も非常に重要です（注１）。その中から化学実験や試験管内での実験、さらには動物実験によって、有望な候補化合物を選びます（注２）。</p>  <p>一般の治療薬では薬効と薬理作用がきわめて重要であるとともに、それと表裏一体の関係にある毒性や副作用も重要ですが、放射性診断薬は物質としての量が微量で薬理作用が無いとされるため毒性は通常あまり問題とはならず、いわゆる薬物動態、すなわち血中濃度と体内分布が重要です。そこで、標識安定性や、動物に投与後の血中濃度と代謝物を調べるとともに、見たいものに集積しているか、すなわち受容体や酵素活性を画像化するための候補化合物なら、受容体に特異的に結合しているか、あるいは酵素の基質になっているかどうかを、阻害剤などを用いて調べます。動物実験の過程で多くの候補化合物が役立たないとされて脱落します。</p>  <p>動物にて安全でしかも有望であることが確認されると、いよいよ人間における安全性と有効性を実証する臨床試験へと進みます。そこで臨床へ行く前の段階という意味で、動物実験を非臨床試験あるいは前臨床試験（preclinical study）と呼びます。非臨床試験のデータは、臨床試験に進むことを正当化する証拠として、また臨床試験の結果を解釈するためにも重要で、規制当局にも提出されるので、GLPと呼ばれる厳重な品質保証のもとで実験が行われます。</p>  <p>新しい化合物を初めて人間に投与する（first in human）ためには、当然その安全性が十分確認されている必要がありますが、放射性薬剤は物質としての量がごく微量なので、「マイクロドーズ臨床試験」と呼ばれる仕組みを利用すれば、一般の治療薬の候補化合物を薬用量初めて人間に投与する場合に比べて、非臨床安全性試験を簡略化することができます（注３）。</p>  <p>（２）臨床試験</p>  <p>臨床試験（clinical trial）（注４）は通常以下のように段階を踏んで行われ、便宜的に第I相、第II相、第III相と呼ばれますが、それぞれの相が厳密に定義されているわけではありません。また探索的臨床試験、検証的臨床試験という分け方もあります。臨床試験の途中で、役立たないとされて脱落する化合物もあります。</p>  <p>臨床試験の最初の段階においては、まず健常者を対象に、安全性の評価、血中および臓器の薬物動態、および被ばく線量の評価を行います。安全性は、投与前後において、心電図や血液検査などを行って確認します。血中薬物動態は、投与後に経時的に採血して放射能濃度を測定し、さらに代謝分析をして血中の放射性代謝物を調べます（注５）。被ばく線量は、投与後全身の撮影を繰り返し、各臓器の時間放射能曲線を得て、そこからMIRD法で被ばく線量を推定します（注６）。これらはもちろん動物実験で確認されていることですが、種差があるため、人間では血中から瞬時に消失してしまったり、想定していた臓器に全く集まらないなど、有効性が否定されることもしばしばです。</p>  <p>臨床試験の次の段階は、臨床的有効性の実証です。ある疾患を診断することを目的とする診断薬候補化合物なら、その疾患の患者と健常者、あるいは鑑別を要する別の疾患の患者を対象に、候補化合物を投与して撮像し、画像を評価して疾患かどうかを判定して感度と特異度を求めます（注７）。もし、その診断薬候補化合物が、疾患の診断ではなく、受容体の結合能や酵素活性など、病態や機能を評価することを目的とする場合には、その病態や機能の真実（ゴールドスタンダード）を何らかの方法で得て、比較します（注８）。このとき画像や画質は、撮像の仕方すなわち放射能投与量と撮像時間、さらには待機時間（投与後何分後に撮像するか）に依存するので、最適な撮像条件を決める作業を平行して行います（注９）。ROIを用いて画像を定量解析したり、ダイナミックスキャンを動態解析したりする必要がある場合には、その方法の検討も平行して行います（注１０）。</p>  <p>最後の段階で、医療の場における臨床的有効性を検証するための臨床試験をします。そのためには、医療の中でその診断薬が用いられる場面を想定し、有効性に関する仮説を立てます。たとえば、その放射性診断薬によるSPECTやPET検査の結果によって、疾患の進行度を診断して診療方針を決める、治療法を選択する、治療効果を推定するまたは予測する、予後を予測する、といった仮説を立て、それに応じて臨床試験の仕方をデザインします。検証的臨床試験では、最初に対象被験者を登録してSPECTやPET検査を実施し、その後「前向き」にデータをとる、すなわち手術にて確認したり、しかるべき治療を行って効果を確認したり、治療後の予後を追跡調査します。その際厳密には、PETやSPECT検査を行った（それに基づいて診療方針を立てた）結果、全体としてQOLが改善し生存期間が延長したかどうか、さらには医療経済効果すなわち医療費が節約できたかどうかも、検討の対象となります。</p>  <p>このようにして臨床試験で得られたデータが各国の規制当局に提出され承認が得られると、晴れて医薬品となります。また、臨床試験の結果は多くの場合学会や論文雑誌に学術発表されます。</p>  <p>（３）多施設試験とCROの役割</p>  <p>臨床試験を実施する施設の数は、第I相では１つまたはごく少数の施設ですが、臨床試験が進むにつれて施設の数が増え、共通の実施計画書に基づいて複数の医療機関で行う「多施設臨床試験」となります。これは、医療機関によって、患者のプロフィルも、医師や医療体制も、機器も異なるので、１施設だけのデータでは普遍的な有効性を実証するには不十分だからです。このため、第III相ともなると施設の数も増え、手間もコストも非常に大きくなります。さらに、人種が違うと安全性や有効性が変わる可能性があり、国によって医療体制も違うので、最近は２か国以上で同時に行うグローバル臨床試験がさかんに行われます。</p>  <p>多施設臨床試験では、医療機関によって特徴があり得手不得手もあるので、質のそろったデータを取るのは容易ではありません。そこで、とくに多施設試験では、CRO（contract research organization, 臨床開発受託機関）と呼ばれる会社が活躍します。CROは、製薬企業から依頼されて、実施計画書の作成、医療機関の選定、医療機関における実施状況とデータのチェック（これをモニタリングという）、データの管理･解析と報告書の作成などを行います。CROのなかでもとくに撮像の管理や画像データの管理を専門に行う会社をイメージングCRO、検体や試料の測定を専門に行う会社を測定CROといいます。</p>  <p>（４）臨床試験に用いる被験薬の製造</p>  <p>一方、臨床試験で用いる放射性診断薬の候補化合物の合成も、GMPと呼ばれる厳重な品質保証の元で行われます。一般の治療薬と異なり、PET薬剤（とくに）やSPECT薬剤は半減期が短いうえ、物質としての量が微量なので、GMPに基づいて製造するのが容易ではありません。また遠く離れた医療機関で多施設臨床試験を行う場合には、２か所以上で製造する必要が出てくることもあります。一般に、臨床試験で用いる候補化合物の製造は、最初の研究段階では人の手で合成されることもありますが、臨床試験のスタートまでには自動化され、臨床試験の進行にしたがって必要ならさらに方法が改良されて、より安定した品質のものが製造されるようになります。</p>   <p>注１：最初の化学合成の段階ではよく似た構造の化合物を多数合成し、片端からその性質を調べて候補化合物を探します。このため、新規化合物はアルファベットの後に数字が並ぶコードネームで呼ばれるのが普通です。コードネームは臨床試験に進んでからも用いられますが、そのうち一般名が名付けられ、さらに発売される際には商品名が付けられます。</p>  <p>注２：化学的実験では、化合物の安定性、pH（酸性アルカリ性）、脂溶性などを調べます。試験管内での生物学的実験は、インビトロ（in vitro）とよばれ、培養細胞あるいは臓器や組織をすりつぶした液（ホモジネート）を用いて、細胞への取り込みや受容体等のタンパク質への結合を調べます。実験動物に投与する実験はインビボ（in vivo）と呼ばれ、動物の体内でどのように分布し代謝され排泄されるかなどを調べます。動物実験でとくに有用な手法はオートラジオグラフィー（ARG）です。これは動物に放射性薬剤を投与した後、殺して切片を作成し、それをフィルムやイメージングプレートに貼り付けて感光させて切片における放射性同位元素の分布を写し取る手法で、vivoでの分布を体外で測定するのでex vivo ARGと呼ばれます。言うまでもなく、動物を殺さずに生体内の断面の放射能分布を得るのがSPECTやPETであり、PETのことをとくにin vivo ARGと呼ぶ人もいます。</p>  <p>注３：マイクロドーズとは、ヒ卜において薬理作用が出ると推定される投与量の1/100以内かつ100マイクログラム以下の量とされます。この量を健常被験者に１回だけ投与するスクリーニング的臨床試験を行う場合には、いわゆるマイクロドーズ臨床試験のルールを利用することができ、予め拡張型単回投与毒性試験（簡単にいうと、動物に１回投与したのち２週間観察して毒性をみる）を行えば、ヒトでの試験に進むことができます。もともとマイクロドーズの概念は、一般治療薬の開発にあたり、第I相の前にごく微量を人間に投与して薬物動態（吸収、血中濃度、代謝、排泄）だけをみる、いわゆる第０相試験として提案されました。放射性薬剤の場合は、常用量がマイクロドーズのことが多いので、スクリーニング的にヒトで有効性をみる試験を行うことができ、非常に都合よいわけです。</p>  <p>注４：臨床試験は、実施計画書（プロトコール）に基づいて、GCPと呼ばれる厳重な管理の元で、医療機関が設置した委員会で倫理審査を受け、被験者に十分説明して同意（インフォームド･コンセント）を得たうえで、被験者に候補化合物が投与されデータが収集されます。わが国では、薬事法に基づいて厚生労働省に承認申請するためのデータを取る臨床試験を「治験」と呼びます。治験の対象となる候補化合物が「治験薬」です。</p>  <p>注５：血中の放射性薬剤は、それが臓器に入るための入力関数となるため、とくに重要です。また、血中の放射性代謝物が多い場合は、バックグラウンドがあがるほか、放射性代謝物が臓器に多く取り込まれると画像の評価が困難になります。代謝分析と入力関数については、本シリーズ第６回や、第１９回およびその注３を参照。</p>  <p>注６：全身の経時撮影は本シリーズ第１８回の図３参照。MIRD法は第８回参照。</p>  <p>注７：感度と特異度は本シリーズ第２３回参照。当然ながら画像の判定は、疾患の有無などの臨床情報を知らない（ブラインドにした）読影委員によって、別途定めた読影基準に基づいて行われます。</p>  <p>注８：アルツハイマー病の脳に沈着するベータアミロイドを画像化することを目的とするPET診断薬候補化合物に対して、米国の規制当局であるFDAは、被験者の死亡後に剖検して脳のアミロイドの有無を確認するという臨床試験のデータを求めました。</p>  <p>注９：投与後撮像までの時間は、分布に影響するので、非常に重要です。また、投与放射能量が少なすぎたり撮像時間が短すぎると、十分なカウントが得られず画質が低下しますが、投与放射能量を増やすと被ばくが増え、また撮像時間を長くすると被験者の負担が増えるほか、撮像中に分布が変わるおそれもあります。</p>  <p>注１０：　ROIや動態解析は本シリーズ第１６回 to 第２０回を参照</p> <p>&nbsp;</p>]]>
        
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    <title>第35回 RI治療</title>
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    <published>2011-03-03T09:19:21Z</published>
    <updated>2011-04-06T01:56:35Z</updated>

    <summary>RI治療（RI内用療法、内照射治療）とは、主としてがんの患者を対象とするもので、...</summary>
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        <name>アスカコーポレーション</name>
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.asca-co.com/nuclear/">
        <![CDATA[<p>RI治療（RI内用療法、内照射治療）とは、主としてがんの患者を対象とするもので、がんに集まる放射性薬剤を投与し、がんに集まった放射性同位元素（RI）から出る放射線によってそのがんを治療する方法です。</p> <p>表：わが国で行われている主なRI治療 <table border="1">     <thead>         <tr>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff">放射性医薬品</td>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff">RIの半減期</td>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff">RIから放出される放射線</td>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff">対象、目的</td>         </tr>     </thead>     <tbody>         <tr>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff"><sup>131</sup>I-ヨウ化ナトリウムカプセル（Na<sup>131</sup>I）</td>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff">８日</td>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff">ベータ線とガンマ線</td>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff">分化型甲状腺癌の治療、甲状腺機能亢進症の治療</td>         </tr>         <tr>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff"><sup>89</sup>Sr-塩化ストロンチウム（<sup>89</sup>SrCl<sub><sub>2</sub></sub>）</td>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff">51日</td>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff">ベータ線のみ</td>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff">骨転移の疼痛緩和</td>         </tr>         <tr>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff"><sup>90</sup>Y-イブリツモマブ（抗CD20抗体）</td>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff">64時間</td>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff">ベータ線のみ</td>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff">リンパ腫の治療</td>         </tr>     </tbody> </table></p> <p>がんに集まる放射性医薬品を使う点ではイメージングと似ていますが、RIの種類が異なります。イメージングでは比較的半減期が短くてガンマ線のみを放出する放射性同位元素が好んで用いられるのに対し、RI治療では比較的半減期が長くてベータ線を出す放射性同位元素がしかも大量に用いられます。ガンマ線は電磁波（光）で体外に出てくるので撮影に適しているのに対し、ベータ線は電子（粒子）なので放出された地点からごく短い距離しか届かないため、RIが集積したがんには高い線量があたりますが、そこから離れた正常臓器にはあまりあたりません。</p> <p>一般にがんは放射線感受性が比較的高いので、がんの放射線治療は医療の場で広く行われています（注１）。一般の放射線治療と比べて、RI治療の特徴は、がんが身体のどこにあっても、たとえがんが広く転移していても、がんにRIが集まりしかも正常部位（とくに放射線感受性の高い臓器）にあまり集まらないならば、治療ができることです。</p> <p>RI治療では、イメージングに比べてはるかに多量のRIを用いるので、家族や公衆の被ばくを軽減するために、RIの種類と放射能投与量によっては、退出基準というルールに従って、一定期間患者を特殊な病室（放射線治療病室）に収容します。とくに<sup>131</sup>Iからは強いガンマ線が出るので、<sup>131</sup>I治療直後の患者にずっと近接して付き添うと被ばくが無視できません。したがって、常時近接介護が必要となる患者には、<sup>131</sup>Iによる治療は適していません。また、尿などにRIが排泄される場合には排泄物の扱いにも注意が必要です（本シリーズ第９回参照）。</p> <h3>（１）Na<sup>131</sup>Iによる甲状腺癌の治療</h3> <p>甲状腺ホルモンにはヨウ素が含まれ甲状腺細胞はヨウ素を取り込む性質があるので、放射性のヨウ素（Na<sup>123</sup>I, Na<sup>131</sup>I）が甲状腺のイメージングやホルモン産生機能の評価に用いられます（本シリーズ第２９回参照）。甲状腺癌のうち、分化型のものは、甲状腺の腺細胞から発生するため、ホルモンは作りませんが、ヨウ素を取り込むという性質を残しています。そこで、Na<sup>131</sup>Iによって分化型甲状腺癌やその転移病巣を画像化することができ、さらにNa<sup>131</sup>Iを大量に投与すれば甲状腺癌とくにその転移病巣を治療することができるわけです。</p> <p>ただし、正常甲状腺が残っていると、甲状腺癌よりも<sup>131</sup>Iをよく取り込むので、治療ができません。そこで、まず手術をして正常甲状腺を全部切除します（もちろんがんもなるべく切除します）。それでも正常甲状腺組織が少し残ることが多いので、術後に一度Na<sup> 131</sup>I治療をして残存正常甲状腺組織をいわば放射線で焼いてしまうことが多いです（アブレーションと言う）。</p> <p>もうひとつ重要なことは、甲状腺癌が<sup>131</sup>Iを取り込むためには、脳下垂体から分泌されるTSH（甲状腺刺激ホルモン）のレベルが高くなる必要があります（注２）。甲状腺癌の患者は通常正常甲状腺の全摘出術を受けていて甲状腺ホルモンを作れないため、甲状腺ホルモン剤を投与されています。そこで、<sup>131</sup>I治療の前に甲状腺ホルモン剤の投与を止めることによって、甲状腺ホルモンのレベルを下げ、フィードバック機構によってTSHレベルを上げ、そのタイミングを狙って大量の<sup>131</sup>Iを投与するわけです（注３）。また、血中のヨウ素レベルが高いと競合して<sup>131</sup>Iのがんへの集積を妨げるので、予め食餌をヨード制限食に切り替えておきます。</p> <p><sup>131</sup>Iからはベータ線のみならずガンマ線も出るので、Na<sup>131</sup>IによるRI治療においては、家族や職員の被ばくを軽減するために、患者を一定期間放射線治療病室に入院させます。<sup>131</sup>Iは尿に排泄されるため、尿の扱いにも注意します。</p> <p><sup>131</sup>Iから出るガンマ線をガンマカメラで撮影すると、<sup>131</sup>Iの分布を撮影できます。そこでNa<sup>131</sup>I治療では投与後しばらく日数がたってからガンマカメラで全身を撮影し、がんの転移病巣のすべてに<sup>131</sup>Iが集まっていること（すなわち治療ができたこと）を確認します。</p> <h3>（２）<sup>89</sup>Sr-塩化ストロンチウムによる骨転移の疼痛緩和</h3> <p>ストロンチウム（Sr）はカルシウムと似た性質があり骨に集まります。骨転移があると集積が増えるので、<sup>89</sup>Sr-塩化ストロンチウムを投与し、<sup>89</sup>Srから出るベータ線で治療します。がんの骨転移は強い痛みを伴うことが多く、<sup>89</sup>Sr治療は疼痛軽減に効果があるので、患者のQOL（Quality of Life、生活の質）の向上に役立ちます。</p> <p>ただし、<sup>89</sup>Srの疼痛緩和効果はがん細胞を傷害するからではなく、骨転移に伴う炎症などの発痛機構を抑制するためと考えられています。<sup>89</sup>Srから出るベータ線の線量は、がんそのものを治療できる量にはならず、もちろん骨転移病巣以外のがん病巣には治療効果はありません。したがって、<sup>89</sup>Sr治療による延命効果はほとんどありません。</p> <p><sup>89</sup>Srはベータ線のみを放出しガンマ線を出さないので、通常の方法ではイメージングができません。しかし、<sup>89</sup>Srから放出されるベータ線からは制動X線（注４）が出るので、それをガンマカメラで撮影すれば、画質は悪いですが、骨転移に集まったかどうか<sup>89</sup>Srのおおまかな分布を確認できます。患者の身体から出る制動X線はごく少量なので周囲の人の被ばくは無視でき、<sup>89</sup>Sr治療は外来で実施可能で、患者は<sup>89</sup>Sr注射後退出帰宅できます。</p> <h3>（３）<sup>90</sup>Y-イブリツモマブによるリンパ腫の治療</h3> <p>悪性リンパ腫（リンパ球のがん）のうちBリンパ球系のものは、細胞の表面にCD20という抗原があります。<sup>90</sup>Y-イブリツモマブ（フルネームは<sup>90</sup>Y-ibritumomab tiuxetan）はそれに対するモノクローナル抗体をイットリウム-90（<sup>90</sup>Y）というRIで標識したものです。これを静脈投与するとリンパ腫細胞に結合し、<sup>90</sup>Yから放出されるベータ線でリンパ腫を治療できます。このように、腫瘍に対するRI標識抗体で行うRI治療を、放射免疫療法と言います。</p> <p><sup>90</sup>Yからはガンマ線が出ないので、<sup>90</sup>Y-イブリツモマブの投与後に分布を撮影することができません。そこで、事前に<sup>111</sup>In-イブリツモマブを投与してガンマカメラで撮影します。<sup>111</sup>In-イブリツモマブはインジウム-111（<sup>111</sup>In）というガンマ線を出すRIで標識されている点を除けば同じ抗体なので、体内でほぼ同様に振る舞い、ガンマカメラで撮影すれば分布がわかります。<sup>111</sup>In-イブリツモマブ投与後の撮影で、もし骨髄への集積が高い場合には、<sup>90</sup>Y-イブリツモマブ治療をすると骨髄がうける放射線量が高くなり造血機能を損なう恐れがあるので、<sup>90</sup>Y治療は行われません。</p> <p>注１：　一般にいう「がんの放射線治療」では、リニアックや粒子線治療装置を用いて体外から強いX線や粒子線をがんにあてて治療する方法や、腔内照射や小線源治療といってがんの表面や内部に放射線源（密封されたRI）を挿入して線源から出るガンマ線でがんを治療することが行われます。これらの放射線治療では、がんの位置と範囲を正確に知ることが重要で、そのためにCTやMRI、ときにPETも用いられます。そのようにして決めたがんの範囲に多くの放射線をあて、周囲の正常部にはあまりあたらないように線量計算し（これを治療計画と言う）、その計算に基づいて照射の方向や量を決めます。つまり、がんの範囲を正確に知ることと、計算したとおりに正確に放射線をあてることがきわめて重要です。また、がんが広く転移している場合には、そのすべてを照射することは困難です。</p> <p>これに対して、RI治療では、がんがどこにあっても、全身に転移していても、そのがんにRIが集まれば治療ができます。そのかわり、がんにRIが集まらなければ、まったく治療になりません。</p> <p>通常の放射線治療は、病院では放射線治療部門が行いますが、RI治療はRIの管理と取り扱いを伴うので核医学部門が関与し、内科や外科にてそのがん患者をふだん診療している部門との密接な連携のもとに、さらに病院によっては放射線治療部門の協力も得て実施されます（本シリーズ第１回参照）。</p> <p>注２：　正常甲状腺はTHSに支配されていますが、甲状腺癌もその性質が残っています。TSHについては本シリーズ第２９回参照。</p> <p>注３：　最近TSHが人工的に合成できるようになったので、合成したTSHを投与してTSHレベルを上げる試みもあります。</p> <p>注４：　高速の電子が原子核に近づくとブレーキ（制動）がかかり、それによって失うエネルギーがX線として放出されます。これを制動X線といいます。X線撮影やX線CTのX線管球、放射線治療で用いられるリニアックなど、通常X線とよばれるものはすべて制動X線で、電子を加速しターゲットにあてて発生させます。<sup>89</sup>Srから放出される電子も同様に周囲の原子によってブレーキがかかり、制動X線が出ます。制動X線のエネルギーは電子のエネルギー（X線管球の場合は電子の加速電圧）を上限とする連続スペクトルをなします。これに対してRI（たとえば<sup>201</sup>Tl）の崩壊に際して放出されるX線は示性X線といい、単一エネルギーです。</p>]]>
        
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    <title>第34回 骨髄、白血球、リンパ節のイメージング</title>
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    <published>2011-02-01T02:33:11Z</published>
    <updated>2011-04-06T02:01:24Z</updated>

    <summary>表：骨髄、白血球、リンパ節のシンチグラフィーやSPECTに用いられる放射性薬剤の...</summary>
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        <name>アスカコーポレーション</name>
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        <![CDATA[<p>表：骨髄、白血球、リンパ節のシンチグラフィーやSPECTに用いられる放射性薬剤の例 <table border="1">     <tbody>         <tr>             <td bgcolor="#ccffff" bordercolor="#0000ff">&nbsp;</td>             <td bgcolor="#ccffff" bordercolor="#0000ff">放射性薬剤</td>             <td bgcolor="#ccffff" bordercolor="#0000ff">評価できるもの、用途</td>         </tr>         <tr>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff">骨髄</td>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff"><sup>111</sup>In-InCl<sub>3</sub>（塩化インジウム）</td>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff">造血組織の分布</td>         </tr>         <tr>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff">白血球</td>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff"><sup>111</sup>In-インジウムオキシン-白血球             <br />             <sup>99m</sup>Tc-HMPAO-白血球</td>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff">炎症、感染症の局在</td>         </tr>         <tr>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff">リンパ節</td>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff"><sup>99m</sup>Tc-フチン酸コロイド、<br />             <sup>99m</sup>Tc-スズコロイド</td>             <td bgcolor="#ffffff" bordercolor="#0000ff">がんの転移におけるセンチネルリンパ節の同定</td>         </tr>     </tbody> </table></p> <h3>（１）骨髄シンチグラフィー</h3> <p>骨髄は骨の中の空洞にあり、赤血球や白血球、血小板を作る造血組織です。赤血球のヘモグロビンには鉄が含まれるので、造血組織には鉄が取り込まれますが、<sup>111</sup>In-InCl<sub>3</sub>（塩化インジウム）は鉄と同じような挙動をとって造血組織に取り込まれるので、静脈投与２日後にシンチカメラで全身を撮像すると、造血組織の分布がわかります（注１）。</p> <p>正常の成人では、脊柱や腰の骨など体幹部の骨髄（中心骨髄）でのみ造血が行われており、腕や脚の先のほう（末梢骨髄）には造血組織がありません。白血病や再生不良性貧血などの造血系疾患になると、造血骨髄が末梢まで拡大したり、中心骨髄の機能が低下して体幹部に集積しなくなったり、さらには骨髄以外で造血（髄外造血）が行われたりすることがあり、診断や病態評価に役立ちます。造血系の疾患の診断は、通常胸の骨（胸骨）や腰の骨（腸骨）から造血組織を採取し細胞を詳しく調べて診断しますが、侵襲的であり、しかも採取されるのは骨髄のごく一部です。骨髄シンチグラフィーは全身の骨髄の働きを見ることができる検査法として用いられています。</p> <h3>（２）白血球シンチグラフィー</h3> <p>患者の血液から白血球を抽出し、<sup>111</sup>In-オキシンや<sup>99m</sup>Tc-HMPAOで標識して静脈注射し、シンチカメラで全身を撮像すると、白血球が集まる部位を画像化できます。白血球は炎症に集まるため、感染症や膿瘍など炎症の局在と分布を画像化でき、不明熱（原因不明の発熱）の熱源探索や人工臓器の感染の診断などに役立ちます。とくに標識白血球は、<sup>67</sup>Ga-クエン酸ガリウムなどと異なり、腫瘍にはあまり集まらず炎症に特異的に集まる点が優れます。しかし、標識操作に手間がかかるのが欠点です（注２，３）。</p> <h3>（３）センチネルリンパ節シンチグラフィー</h3> <p>がんが転移するときは、原発巣の近くのリンパ節にまず転移することが多いです。これは、原発巣にてがん細胞がリンパ管に進入し、リンパ液の流れに乗って原発臓器から出て、まず近くのリンパ節に到達するからです（注４）。そこで、がんの根治的手術において、オーソドックスな方法としては、がんの原発巣および近くのリンパ節一式すべてを切除する（郭清（かくせい）という）ことが行われます。しかし、リンパ節郭清は、一般に侵襲的で手術の規模が大きくなるので、もしリンパ節転移が無く郭清の必要が無いならば避けたいところです。たとえば、乳癌の場合には腋下リンパ節を郭清することになりますが、そうすると腕から胸部に流れてくるリンパ液を遮断することになるので、術後にしばしばリンパ浮腫といって腕が腫れ上がる合併症をきたします。リンパ節転移は、ごく小さなものは通常の画像診断ではわかりません。そこで、センチネルリンパ節の生検という方法が用いられます。</p> <p>センチネル（見張りという意味）リンパ節とは、原発巣から流れ出すリンパ液が最初に到達するリンパ節をいいます。がんのリンパ節転移は、もし転移するならばまずセンチネルリンパ節に転移すると考えられます。そこで、通常の術前検査にて明らかなリンパ節転移の所見がない患者では、まずセンチネルリンパ節を採取して顕微鏡で調べ、もし全く転移がなければ他のリンパ節にも転移がないと考えて郭清はしない、もし少しでも転移があれば他のリンパ節にも転移がある可能性があると考えて郭清する、という手術方針が採用されます。</p> <p>そのためには、どのリンパ節がセンチネルリンパ節であるかを同定しなければなりません。センチネルリンパ節は原発巣とリンパ節の位置関係によって決まり、個人差もあります。そこで、リンパ液の流れに乗って運ばれる物質を実際に原発巣かそのすぐ横に注入し、どのリンパ節に最初に到達するかを調べます。そのために、<sup>99m</sup>Tc-標識のコロイドが用いられます。コロイドは微粒子なので、リンパ管の中を流れてリンパ節に到達するとそこで捕らえられて留まるため、撮像すると位置がわかります。</p> <p>術前に<sup>99m</sup>Tc-標識のコロイドをがんのすぐ横（静脈内ではない）に注射すると、数時間後か翌日にセンチネルリンパ節に集積するので、シンチカメラで撮像して同定し、手術にて採取して調べ、リンパ節郭清するかどうかの手術方針を決めます。このとき、シンチグラフィーの画像だけでは手術時にリンパ節を同定するのが難しい場合があるので、術中にガンマプローブ（本シリーズ第10回の図３参照）を用いて、放射線を発するリンパ節を同定します。</p> <p>なお、センチネルリンパ節の同定には、放射性薬剤を用いる核医学的方法のほかに、手術時に色素を注入する用いる方法もあります。</p> <p>注１：骨髄のイメージングに用いられる放射性薬剤としては、次に述べる<sup>111</sup>In-オキシン白血球も造血骨髄に集まります。このほか、骨髄には、網内系の細胞（異物を食べる細胞）があるため、<sup>99m</sup>Tc-標識のコロイドも用いられますが、造血機能を評価するものではありません。一方PET用の薬剤としては、造血組織は細胞分裂が盛んなので<sup>18</sup>F-FLTが集積し、PETで全身を撮像するとその分布がわかります（本シリーズ第33回参照）。また、糖代謝も盛んなので<sup>18</sup>F-FDGも骨髄に集積します。</p> <p>注２：<sup>18</sup>F-FDGによるPETも炎症や感染症の病巣の描出に優れます（本シリーズ第33回参照）。FDGは炎症のみならず腫瘍およびいくつかの正常組織にも集まりますが、撮像にPET/CTを用いることによって、CTによる形態情報をFDGの集積情報と組み合わせれば、診断精度が向上します（本シリーズ第14回参照）。</p> <p>注３：「細胞治療」が最近注目されています。これは、細胞を患者に投与しその働きによって治療する方法で、失われた機能を取り戻す「再生医療」の一つの柱となる治療法です。細胞治療においては、有効性を評価するために、投与した細胞が期待する部位に到達したことを確認したい場合があります。投与した細胞の行方を追跡することをcell trackingといいますが、放射性同位元素で標識した細胞を投与する核医学イメージングは、そのための有用な手法です。</p> <p>注４：リンパ液はタンパク質や脂肪が含まれる液体で、リンパ管の中を流れます。リンパ管は全身組織から出て、途中リンパ節をいくつも通りながら、最終的には静脈に注ぎます。リンパ節にはリンパ球がいて必要に応じて増殖し、リンパ液中の異物を（不完全ながら）捕捉する、いわばフィルタのように働くと考えられています。（がん細胞もコロイドも異物です。）</p>]]>
        
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    <title>第33回 腫瘍のPET</title>
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    <published>2011-01-05T04:25:26Z</published>
    <updated>2011-04-05T06:19:24Z</updated>

    <summary>18F-フルオロデオキシグルコース（FDG）が、腫瘍のPETの定番ですが、FDG...</summary>
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        <name>アスカコーポレーション</name>
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        <![CDATA[<p><sup>18</sup>F-フルオロデオキシグルコース（FDG）が、腫瘍のPETの定番ですが、FDG以外にもさまざまなPET用放射性薬剤が、主として研究に用いられます。</p> <span style="display: inline;" class="mt-enclosure mt-enclosure-image"><a href="http://www.asca-co.com/nuclear/no.33.JPG"><img width="572" height="390" style="" class="mt-image-none" src="http://www.asca-co.com/nuclear/assets_c/2011/01/no.33-thumb-572x390-155.jpg" alt="no.33.JPG" /></a></span> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p><p>FDGはブドウ糖と同じようにグルコーストランスポータに乗って細胞膜を通過して細胞に入り、ブドウ糖と同じようにヘキソキナーゼによってリン酸化されますが、ブドウ糖と異なり、リン酸化された後は代謝されず細胞内にとどまります（代謝的に捕捉される＝metabolic trap）。したがって、FDG注射後約１時間たつとその分布は糖代謝の分布を反映します。腫瘍は一般にグルコーストランスポータが亢進しかつ糖代謝がさかんなので、FDGは大部分のがんによく集まります。とくに、昔から腫瘍の核医学検査に用いられてきた<sup>67</sup>Ga-クエン酸ガリウムによるシンチグラフィーやSPECTに比べてバックグラウンドが低くてコントラストがよく、PETは物理学的な画質もよいので、このところ急速に普及してきました。</p> <p>FDGによるがんのPET検査の臨床における目的（医療に用いられる場面）を列挙すると、以下のようになります。</p> <p>・健康な人でのがん早期発見（がん検診）</p> <p>・がんの存在診断（良性疾患との鑑別診断）</p> <p>・がんの進展範囲を決める病期診断</p> <p>・転移が先に見つかった場合の原発巣の探索</p> <p>・治療効果の評価や予測</p> <p>・治療後の再発の発見と診断</p> <p>FDGはブドウ糖を取り込む臓器や病変なら、腫瘍以外でも集まります。個人差もありますが、正常でFDGが集まる部位は、脳、唾液腺、扁桃、胸腺、乳腺、心筋、肝、胃・腸管、骨格筋などです。脳はエネルギー源としてブドウ糖を使うのでFDGが強く集まり（したがって脳腫瘍の診断には適さない）、これを逆に利用して脳疾患の診断にFDGが用いられます（本シリーズ第２４回参照）。心筋も、食後などインスリンレベルが高い状態ではブドウ糖をエネルギー源とするため、これを利用して心筋のバイアビリティの評価にFDGが用いられます（本シリーズ第２６回参照）。</p> <p>また、FDGは尿に排泄されるので（ブドウ糖は糖尿病でない限り尿に出ない）、腎臓、尿管、膀胱が描出されます。</p> <p>筋肉も運動するとブドウ糖を取り込むので、がんのFDG-PET検査の際には安静が必要です（注１）。</p> <p>炎症細胞（マクロファージや白血球など）は糖代謝が盛んなため、FDGは炎症にもよく集まります。リンパ節炎、う歯（虫歯）や歯周炎、甲状腺炎、放射線肺炎やその他の肺炎、膵炎、腸炎、痔、動脈炎、関節リウマチ、結核などの肉芽腫、サルコイドーシス、外傷や手術創といった炎症性の病変にFDGが集まることが知られています（注２）。実はがんがFDGで描出されるのも、がん組織の周囲に集まった炎症細胞へのFDGの集積が寄与しています。そういうわけで、FDG-PET検査で異常集積が見つかっても、腫瘍か炎症か判断に迷う場合があります。一般にがんのほうが炎症よりもFDG集積が高いですが、例外もあるので、SUV値だけで決めつけることはできません（本シリーズ第１７回参照）。とくにがんの治療後は炎症が残ることが多いので、がんの治療後その効果を見るためのFDG-PET検査では慎重に画像を解釈する必要があります。このように、FDGは決して百発百中ではないので注意が必要です（注３）。</p> <p>このほか、FDGが動脈硬化巣（プラーク）に集まることもあります。FDGが集積した動脈硬化巣は、炎症細胞であるマクロファージが集まっていて、将来破裂して血栓症を起こす危険がより高い動脈硬化プラークの可能性があると言われています。</p>  <p>腫瘍はアミノ酸トランスポータの発現も亢進していて、アミノ酸をよく取り込むので、<sup>11</sup>C-メチオニンや<sup>18</sup>F-フルオロエチルチロシン（FET）といったアミノ酸製剤も腫瘍のPETイメージングに用いられます。これらは正常な脳にはほとんど集まらず、一方脳はFDGの弱点なので、脳腫瘍の診断にアミノ酸製剤が好んで用いられます。アミノ酸製剤は、膵臓、唾液腺、肝臓といったタンパク質の合成が盛んな臓器には正常でもよく集まります。</p>  <p><sup>11</sup>C-コリンや<sup>11</sup>C-酢酸もさまざま腫瘍に集まります。これらは、細胞膜の原料になるとされ、腫瘍は細胞分裂が盛んで細胞膜の合成も盛んなので、よく集まると言われています。</p>  <p><sup>18</sup>F-フルオロチミジン（FLT）はDNAの原料であるチミジンを<sup>18</sup>Fで標識した化合物です。がんは細胞の増殖がさかんですが、細胞は分裂する前にDNAを複製しそのためにチミジンを取り込みます。FLTはチミジンと同様に細胞に取り込まれ、チミジンキナーゼ（TK1）という酵素でリン酸化されて細胞内に滞留するため、FLTは増殖の盛んな腫瘍に多く集まります（注４）。単にがんの有無を見るためならFDGで十分ですが、そのがんの活発さや治療効果を見るのに、FLTで細胞増殖を評価するのが役立つと期待されています。また、FDGは炎症にも集まりますが、FLTはFDGほど炎症には集まらないため、特異度の高い診断ができると期待されています。正常臓器のなかでは、骨髄が細胞分裂が盛んなので、FLTは骨髄にも集まります。</p>  <p><sup>18</sup>F-フルオロミソニダゾール（FMISO）や<sup>60</sup>Cu(または<sup>62</sup>Cu,<sup> 64</sup>Cu)-ATSMは、低酸素に集積すると言われています（注５）。一般に腫瘍は増殖に血流の供給が追いつかず、酸素（O<sub>2</sub>）が足りなくなる傾向にありますが、とくに低酸素環境にある腫瘍は、放射線治療や化学療法に反応しにくいとされます（あまり細胞分裂しないためとも言われています）。低酸素イメージング剤は治療抵抗性を予測し、その患者に合った治療の計画を立てるうえで役立つと期待されています。</p>  <p>RGDは、アルギニン、グリシン、アスパラギン酸からなるペプチドで、&alpha;<sub>V</sub>&beta;<sub>3</sub>インテグリンというタンパク質に集まります。このタンパク質は、がん組織内にある新生血管の血管内皮細胞に強く発現するため、<sup>18</sup>F-ガラクトRGDの集積は、がんの血管新生の指標になると言われています。一般に腫瘍は自身を栄養するために自ら血管を作りますが、<sup>18</sup>F-ガラクトRGDの集積からその腫瘍の血管が豊富かを評価できると言われています。とくに抗癌剤のなかには血管新生を阻害する薬があるので、その効果を評価するためにも役立つと期待されています。</p>  <p>がん細胞には特定の受容体が発現しているものがあり、それを画像化することもできます。<sup>18</sup>F-フルオロエストラジオール（FES）は、女性ホルモンであるエストロゲンを<sup>18</sup>F標識したもので、エストロゲン受容体に集まります。乳癌のうちエストロゲン受容体があるタイプのものはホルモン治療が効くとされるので、FESが集積すればホルモン治療が効くことが予測できると言われています。このほか、ソマトスタチン受容体を画像化する<sup>68</sup>Ga標識薬剤もいくつか知られており､神経内分泌腫瘍のイメージングに用いられます（本シリーズ第３２回参照）。</p>  <p>　このように、がんの有無と局在だけなら多くの場合FDGだけで十分ですが、さまざまなPET用放射性薬剤を用いてそのがんの生物学的性質を明らかにすれば、どのような治療が効くか、また、実際に治療に反応したかどうかを評価することができ、個々の患者に適した治療ができると期待されています。</p>   <p>注１：質の高いFDG-PET検査のためには、絶食と安静が必要です。食後で血糖が高いとFDGと血中のブドウ糖が競合するうえ、インスリンのレベルが上がって筋肉へのFDG集積が増えるため、腫瘍のFDG-PET検査前には数時間の絶食が必要です。また、FDG注射後は安静が必要で、歩くと脚に、話をすると喉に集まります。さらに、検査の前に激しい運動をすると筋肉に蓄えられたグリコーゲン（ブドウ糖が多数つながった栄養物質）が枯渇し、運動後には筋肉がブドウ糖を取り込んでグリコーゲンを生成します。したがって、前日から激しい運動を控えます。</p>  <p>注２：FDGが炎症に集まることを利用して、感染症や炎症の診断に用いられることがあります。たとえば、人工血管や人工関節などの人工物を入れた患者でその細菌感染を早期に発見する、不明熱の患者で感染巣などの熱源を探索する（がんも不明熱の原因となり得るので都合よい）、など。</p>  <p>注３：がんでもFDGが集積しにくいものがいくつか知られています。肺の高分化腺癌、分化型肝細胞癌、早期胃癌、進行胃癌でも粘液癌やスキルスといった細胞成分の少ない癌、前立腺癌、超早期の癌である粘膜内癌などはFDGが集まりにくいとされます。</p>  <p>注４：FLTはチミジンと異なりDNAそのものには入りませんが、FLTのがんへの集積はTK1の活性を反映し、TK1活性は細胞増殖を反映するので、細胞の増殖とFLTの集積が相関することが知られています。FLTは分裂している正常細胞にも入るので、正常細胞のDNAにフッ素化されたチミジンが入れば遺伝子に傷がつくことを考えると、DNAにFLTが入らないことは都合がよいと言えます。</p>  <p>注５：細胞はエネルギーを得るためにブドウ糖や脂肪酸などを好気的に分解します、つまり酸素（O<sub>2</sub>）で燃やしますが、その最終段階は電子伝達系と呼ばれ、電子（水素と同等）が酸素と反応して水ができます。酸素が足りなくなると電子伝達系が動かなくなり、電子が余って還元力が高まります。FMISOやCu-ATSMは、低酸素環境では還元されて（Cu-ATSMはCuが２価から１価になる）、細胞内に滞留すると言われています。</p>]]>
        
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    <title>第32回 腫瘍の特徴とシンチ・SPECT</title>
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    <published>2010-11-30T09:47:30Z</published>
    <updated>2011-04-05T06:31:51Z</updated>

    <summary>（１）腫瘍の特徴 腫瘍には良性と悪性があり、悪性のものが「がん」と呼ばれます（注...</summary>
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        <name>アスカコーポレーション</name>
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.asca-co.com/nuclear/">
        <![CDATA[<p>（１）腫瘍の特徴</p> <p>腫瘍には良性と悪性があり、悪性のものが「がん」と呼ばれます（注１）。　</p> <p>腫瘍は、もともと正常だった細胞が、突然性質が変わって腫瘍細胞となり、自律的に際限なく増殖を続けるようになったものです。悪性腫瘍になると、さらに周囲の臓器に進入して破壊したり（局所浸潤）、遠くの臓器に飛び火して（遠隔転移）そこでさらに増え続けます。これに対して、正常な臓器や組織では細胞の増殖は調節されていて、不必要に際限なく分裂が繰り返されることはなく、また古くなった細胞は自然に死んでゆく（アポトーシス＝注２）ため、細胞がどこまでも増え続けることはありません。もちろん、隣の臓器に破壊進入することはなく、たとえ細胞がちぎれて血流に乗り別の臓器に迷入してもすぐに死んでしまいます。このように、腫瘍細胞は、細胞の分裂、接触、死といったメカニズムをコントロールする機構に異常を来しているのが特徴です。</p> <p>腫瘍細胞は正常細胞から発生するため、もとの細胞の性質や特徴を多かれ少なかれ残しています。顕微鏡で形を見ればだいたいその起源がわかるので、発生臓器（場所）ともとの細胞の種類によって腫瘍を分類します。最近は腫瘍細胞の表面にあるさまざまなタンパク質を調べて分類することもあります。また、腫瘍細胞はもとの細胞が生体で担っていた役割を失っているのが普通ですが、なかにはもとの細胞の機能を一部残しているものもあります（注３）。</p> <p>腫瘍はあらゆる臓器のあらゆる組織、細胞を起源として発生しうるので、その特徴もさまざまですが、多くの腫瘍（とくに悪性腫瘍）に共通して見られる特徴として、豊富な血流と血管透過性の亢進が挙げられます。悪性腫瘍は一般に血管が発達し血流が豊富です。これは、腫瘍が増殖する上で酸素や栄養を補給するために血流が必要であり、腫瘍自身に血管を作る（血管新生）能力があるからです。また腫瘍細胞は一般に代謝がさかんで、アミノ酸やブドウ糖などさまざまな物質をさかんに取り込みます。このほか、腫瘍には特殊な受容体が発現していることもあります。このような性質を利用して、腫瘍をイメージングするさまざまな放射性薬剤が開発され利用されています。なお、血流が多く細胞の代謝がさかんであるという性質は、実は炎症にもいえるため、腫瘍のイメージング薬剤は炎症にもある程度集まるものが多いです。</p> <p>（２）腫瘍のシンチグラフィー・SPECT用イメージング剤</p> <p>下表に腫瘍のシンチグラフィーやSPECTに用いられる主な放射性薬剤を挙げました。イメージングに利用している性質は、別に腫瘍以外にも当てはまるものもあるため、これらの薬剤は腫瘍以外のイメージングに用いられることもあります。また、特定の種類の腫瘍にのみ用いられるものや、腫瘍の特定の性質を画像化するためだけに用いられるものもあります。</p> <p>&nbsp;</p> <span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img width="600" height="284" alt="no.32.JPG" src="http://www.asca-co.com/nuclear/no.32.JPG" class="mt-image-none" style="" /></span> <p><br /> <br /> <br /> <br /> &nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> <p><sup>67</sup>Ga-クエン酸ガリウムは血中のトランスフェリンと結合し、腫瘍細胞のトランスフェリン受容体を介して取り込まれると言われています。<sup>67</sup>Ga-クエン酸ガリウムはリンパ腫や頭頸部癌、肺の扁平上皮癌、甲状腺未分化癌、メラノーマなどによく集まりますが、腺癌（腺細胞の癌）にはあまり集まりません。また、炎症にもよく集まります。</p> <p><sup>67</sup>Ga-クエン酸ガリウムによるイメージングでは、静脈注射の２，３日後に撮影するので、患者は２回来院する必要があります。また、バックグラウンドが高く、ガンマ線のエネルギーも高くてガンマカメラに不向きなので、画質はあまりよくありません。</p> <p><sup>201</sup>Tl-塩化タリウムは心筋血流イメージングに用いられるものと同じものです（本シリーズ第２６回）。血流に乗って腫瘍に到達した後、タリウムイオンはカリウムイオンと同じように能動輸送で細胞に取り込まれます。脳腫瘍、分化型甲状腺癌、副甲状腺腫瘍、肺の腺癌などによく取り込まれます。　</p> <p><sup>99m</sup>Tc-sestamibi（MIBI）と<sup>99m</sup>Tc-tetrofosmin（TF）も心筋血流イメージング（本シリーズ第２６回）や副甲状腺腫（同第２９回）に用いられるものと同じもので、血流に乗って腫瘍に到達した後、拡散によって取り込まれます。腫瘍細胞の膜には、細胞内に取り込まれた薬などの物質を外へ汲み出すタンパク質（ポンプ）があり、P糖蛋白と呼ばれています。抗癌剤が（それもいくつもの抗癌剤のどれもが）効かないことがあるのは、このP糖蛋白によって抗癌剤が腫瘍細胞から汲み出されるためです。MIBIとTFもP糖蛋白に乗る（基質となる）ので、もしMIBIやTFが腫瘍に取り込まれて保持されればP糖蛋白の発現が低いことがわかり、その腫瘍が抗癌剤に感受性があることを予測できます。甲状腺癌や乳癌などにて、そのような目的で用いられます。　</p> <p><sup>111</sup>In-オクトレオチドはソマトスタチンというペプチドホルモンの類似化合物です。ソマトスタチン受容体に結合するため、カルチノイド、インスリノーマ、ガストリノーマなど、神経内分泌腫瘍と呼ばれる、ソマトスタチン受容体が強く発現している腫瘍によく集まります。ソマトスタチンは消化管において重要な役割を演じるホルモンで、その受容体は正常細胞にも発現しているので、さまざまな正常臓器にも集積が見られます。</p> <p><sup>99m</sup>Tc-アネキシンA5（<sup>99m</sup>Tc-アネキシンV）はアポトーシス（注２）を起こしている細胞に集まるタンパク質です。アポトーシスの過程で細胞の表面に現れるホスファチジルセリンに結合するので、アポトーシスに陥った細胞を画像化できます。がん組織中では、細胞分裂で新しい細胞が生まれる一方、アポトーシスで死ぬ細胞もあり、細胞の回転が速いがんはアポトーシスイメージングにて強く描出されます。また、抗癌剤や放射線治療の開始後初期には治療効果のあったがん細胞がアポトーシスに陥るので、治療反応性を予測することができると期待されています。なお、アポトーシスは脳梗塞や心筋梗塞、心不全、動脈硬化などでもおこるので、アポトーシスのイメージングは腫瘍以外に対しても行われます。</p> <p>注１：正確にいうと、「腫瘍」は良性腫瘍と悪性腫瘍（いわゆる「がん」）に分類され、悪性腫瘍のうち上皮性のものを「癌」または「癌腫」、非上皮性のものを「肉腫」といいますが、一般には「癌腫」と「肉腫」を区別せずに悪性腫瘍をまとめて「がん」または「癌」と呼ぶことが多いです。また、良性腫瘍を無視して「腫瘍」が悪性腫瘍の意味に用いられることもあります。さらに、「良性」という言葉は「炎症」など腫瘍でない病変に対しても用いられることがあります。</p> <p>注２：細胞には自ら死んでゆく仕組み（プログラムされた死）があり、アポトーシスと呼ばれます。アポトーシスは、いわば不要な細胞を「きれいに始末する」しくみです。というのは、細胞内にはさまざまな物質があって、単に細胞が破壊されてそれらが細胞外に無秩序に放出されると、周囲に悪影響を及ぼすからです。アポトーシスの機構とその引き金についてはさかんに研究されていますが、その過程でホスファチジルセリンというリン脂質が細胞表面に現れ、それが「しるし」となって細胞がマクロファージに食べられて処理されます。細胞が自然にではなく外的傷害によって死ぬ場合でも、外的刺激によってアポトーシスの引き金が引かれて、その後アポトーシスのプロセスによって細胞が死ぬ場合があります。抗癌剤や放射線など外的要因によってがん細胞が死ぬときも、その多くはアポトーシスが関係しています。</p> <p>注３：内分泌系の腫瘍は、もとの内分泌細胞がもっていた機能を保持しているものが多々あり、それを利用したイメージングが行われています（本シリーズ第２９回参照）。</p>]]>
        
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    <title>第31回 骨のイメージング</title>
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    <published>2010-11-08T09:38:07Z</published>
    <updated>2011-04-05T06:38:02Z</updated>

    <summary>骨は身体の姿勢を保ち運動するための支えですが、鉄骨のような無味乾燥とした「モノ」...</summary>
    <author>
        <name>アスカコーポレーション</name>
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        <category term="ミスターPET核医学教室" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[<p>骨は身体の姿勢を保ち運動するための支えですが、鉄骨のような無味乾燥とした「モノ」ではなく、いわば「生きている臓器」です。</p> <p>骨の硬い物質はハイドロキシアパタイト（水酸化リン灰石）とよばれるミネラル（無機質）で、カルシウムやリンからできていて、もちろんこれは「生きているもの」ではありません。実は、骨の中には小さいすき間が多数あって、そこに細胞がたくさん住んでいて、その細胞がタンパク質とミネラルを分泌して硬い骨を作り、あるいは溶かして吸収しています（注１）。これらの細胞を栄養するために、骨には血管が分布し血液が流れています。</p> <p>なお、骨の中央部の空間は「骨髄」といって血液細胞（赤血球や白血球）を作る場所ですが、骨とは別の臓器として扱われます（注２）。</p>  <p>骨の核医学イメージングでは、下の表のように、<sup>99m</sup>Tc標識のリン酸塩や<sup>18</sup>F標識のフッ素陰イオンが用いられます。これらは骨のミネラルに結合し、骨に集まるので、静脈投与後しばらくしてから（通常<sup>99m</sup>Tc製剤は約3時間、NaFは約１時間後に）撮影すると、全身の骨格が画像化されます。骨反応といって骨が作られたり溶けたりするところにはよく集まり、とくに骨が作られるところには強く集まります。がんの骨転移を初めとする骨の腫瘍（悪性腫瘍と良性腫瘍）、骨折、炎症、感染症など骨の疾患では、骨反応が亢進するため、骨のイメージングを行うと、病変部が強い放射能集積として骨格の上に描出されます。</p> <p>骨格の形は頭部や顔面以外は比較的単純で重なりも少ないので、<sup>99m</sup>Tc-MDPや<sup>99m</sup>Tc-HMDPの画像はSPECTでなく、前後面のシンチグラフィーを撮影することが多いです。</p> <p>&nbsp;</p> <span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img width="600" height="250" alt="no.31.JPG" src="http://www.asca-co.com/nuclear/no.31.JPG" class="mt-image-none" style="" /></span> <p>　</p><p>　<sup>99m</sup>Tc-MDPや<sup>99m</sup>Tc-HMDPは、がんの骨転移の検査に広く用いられています。がんの中でも、肺癌、乳癌、前立腺癌は骨転移を起こしやすいことで知られ、他に、甲状腺癌、腎癌、メラノーマ（悪性黒色腫）も、よく骨転移をきたすので、これらのがんではしばしば骨シンチの検査が行われます。一般にがんはどこまで広がっているかによって治療方法がかわるため、転移の有無をみることはきわめて重要です。骨転移の検索は全身を調べる必要がありますが、核医学イメージングを用いれば比較的簡単に全身を撮影でき、もし骨転移があれば異常集積として光るので容易に発見できます。ただし、骨の核医学イメージングにおける異常集積は、理論的にはそこに骨反応が亢進する病変があるという意味しかなく、必ずしもがんの転移とは限りません。たとえば、骨折や歯疾患への集積像は日常よく見られる所見です。そこで、異常集積が見つかれば、その部位に対してX線CTやMRIさらには生検などで詳しい検査を行います（注３）。このように、骨の核医学イメージングは一般に感度が高く、特異度がやや低い検査です。（注４）。</p> <p>　がんの骨転移には造骨性（ミネラルが作られるタイプ）と溶骨性（ミネラルが溶けるタイプ）があり、造骨性のほうが強い集積が見られます。溶骨性の場合、骨が完全にがんに置き換わってしまうと、放射性薬剤が集積せず陰性の欠損像となることもありますが、その場合でもがんと骨の境界部では溶骨性変化が進行中で異常集積が見られることが多く、全体としてドーナツ状集積となります（注５）。</p>  <p>　骨転移の発見目的以外に、すでに骨の腫瘍、骨折、炎症、感染症などの疾患があって、その広がり具合や治療経過をみるためにも、骨の核医学イメージングが用いられます。</p> <p>　<sup>99m</sup>Tc-MDPや<sup>99m</sup>Tc-HMDPの集積は、その部位の血流の影響を受けます。一般に骨病変で骨反応のおこっているところは血流も増加することが多いですが、とくに血流の多い病変には高い集積が見られます。血流の影響は投与直後に最も大きいので、病変の部位がわかっている場合に、三相骨シンチといって静脈注射直後の血流相、その後の血液プールの画像、そして３時間後の骨シンチと、３回にわたって撮影し、病変の広がりと血流を合わせて評価する方法もあります。</p> <p>　<sup>99m</sup>Tc-MDPや<sup>99m</sup>Tc-HMDPは骨以外にも集積することがあります。たとえば、脳梗塞、大腸癌の肝転移、化骨性筋炎などさまざまな病変に集積します。これらには、カルシウムが沈着（石灰化という）している場合がありそれがX線CTでわかることもあります。</p>  <p>　最近<sup>99m</sup>Tcの親核種である<sup>99</sup>Mo（注６）を生産する原子炉の故障が相次ぎ、<sup>99m</sup>Tcの供給が不足する状況がときどき発生しています。米国では、<sup>99m</sup>Tc-MDPや<sup>99m</sup>Tc-HMDPの供給が途絶えた場合に、骨シンチの代替検査法として、Na<sup>18</sup>FによるPETが注目されています。もちろんわが国ではNa<sup>18</sup>Fは承認もされず健康保険適用でもありませんが、<sup>18</sup>Fはサイクロトロンで<sup>18</sup>F陰イオンの形で生成されNa<sup>18</sup>Fを製造するための特別な標識合成反応が要らないので、技術的には比較的簡単に院内製造できます。</p>   <p>注１：　骨を薬品につけてミネラルを流し去り軟らかくしたのち、薄く切って顕微鏡で観察すると、微細なすきまが多数見え、そこに骨の細胞がいることがわかります。骨の細胞には、通常の骨細胞のほかに、骨を作る「骨芽細胞」や、骨を溶かす「破骨細胞」があり、これらの働きによって血液中のカルシウムが調節されるほか、小児の成長や骨折後の癒合がおこり、さらには筋力トレーニングをすれば骨格にかかる力に応じて骨の太さや長さが変わってゆきます。</p>  <p>注２：　身体を支えるという目的のためには、鉄パイプと同じように、骨の内部は空洞で差し支えありません。この空洞が骨髄であり、造血細胞がいて赤血球や白血球を作っているわけです。</p>  <p>注３：　初めからX線CTやMRIで全身の骨を撮影するのは、撮影と読影の手間や、X線の場合被ばくを考えると、現実的ではありません。</p>  <p>注４：　感度と特異度については本シリーズ第２３回参照。</p>  <p>注５：　骨に限らず、転移の検索を含めてがんの診断には、FDGによるPET検査がよく用いられます。FDGは糖代謝のさかんな部位に集まり、一般にがんは糖代謝が盛んなので、FDGががんに集まります。FDGは骨に転移したがんにも集まるので、FDGによるPET検査で骨転移も発見できます。とくにFDGは、骨シンチとは逆に、溶骨性で骨ががんに置き換わっている場合によく集まります。</p>  <p>注６：　<sup>99m</sup>Tcは<sup>99</sup>Mo/<sup>99m</sup>Tcジェネレータからミルキングによって抽出します（本シリーズ第4回参照）。原料の<sup>99</sup>Moは、世界的に見てもごく限られた数の原子炉で製造されていますが、老朽化によるトラブルで製造休止がときどき発生しています。わが国には<sup>99</sup>Moを製造する原子炉はなく、すべて輸入に頼っています。　</p>]]>
        
    </content>
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    <title>第30回 腎臓の核医学検査</title>
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    <id>tag:www.asca-co.com,2010:/nuclear//3.365</id>

    <published>2010-10-05T08:25:23Z</published>
    <updated>2010-10-15T06:46:09Z</updated>

    <summary><![CDATA[&nbsp; 　腎臓は尿を作る、すなわち不要になった物質を体外に排出する臓器です...]]></summary>
    <author>
        <name>アスカコーポレーション</name>
        <uri>http://www.asca-co.com/mt/mt-cp.cgi?__mode=view&amp;blog_id=3&amp;id=1</uri>
    </author>
    
        <category term="ミスターPET核医学教室" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.asca-co.com/nuclear/">
        <![CDATA[<p>&nbsp;</p>
<p>　腎臓は尿を作る、すなわち不要になった物質を体外に排出する臓器ですが、より本質的には体液の調節をしています（注１）。そのために、腎臓へは両側合わせて約1200mL/minもの血流が流れていますが、これは心拍出量の25%にもあたります。</p>
<p>腎臓に入った血液は、枝分かれした細動脈が糸球体と呼ばれるところを通過する際に、血管壁の窓から血漿中の小さい分子がいわば濾過されて出て行き、ボウマン嚢と呼ばれる小さい袋に漏れ落ちて「尿のおおもと」が作られます。「尿のおおもと」が尿細管と呼ばれる管を流れてゆく際に、管壁の尿細管細胞によってブドウ糖やアミノ酸など必要な物質が再吸収され、また不要な物質が分泌されて尿に加えられ、さらに水と電解質もやりとりされて、尿が作られます。このようにして、腎臓は体液の成分を調節する一方、不要な物質を尿として排泄します。尿細管は合流し、腎臓の前内側の端にある腎盂（じんう）と呼ばれるところに尿が溜められ、そこから尿管が膀胱まで尿を運びます。</p>
<p>腎臓の核医学検査では、２種類の放射性薬剤が用いられます（下表）。１つは、糸球体で濾過されあるいは尿細管で分泌されて尿に排泄されるもので、腎動態がわかります。もう１つは腎臓に取り込まれて蓄積される放射性薬剤で、腎シンチとして腎細胞の全般的機能がわかります。</p>
<p>内科で腎臓の機能をみる際には、尿素やクレアチニンといった尿に排泄されるべき物質の血中濃度や尿排泄量を測定する方法が用いられますが、これらの方法では左右の腎臓の働きを合わせたものが測定されます。これに対して核医学の手法を用いると、左右の腎臓の機能を別々に測定することができます（分腎機能）。</p>
<p>腎臓がわるくなると、腎臓への血流が低下し、糸球体の濾過量が低下し、さらに尿細管での再吸収や分泌も障害されます。この腎臓への血流、正しくは有効腎血漿流量（effective renal plasma flow, ERPF）と、糸球体濾過量（glomerular filtration rate, GFR）が、腎臓の機能を考える上で重要なポイントとなり、種々の検査で測定あるいは推定されますが、核医学の手法を用いると左右の腎臓別々にそれらを評価することができます。</p>
<img width="550" height="252" style="" class="mt-image-none" src="http://www.asca-co.com/nuclear/assets_c/2010/10/Mr-PET_no30-thumb-653x300-144-thumb-550x252-148.jpg" alt="Mr-PET_no30.JPG" /></a>
<p>&nbsp;</p>
<p>（１）腎動態検査、レノグラフィー</p>
<p><sup>131</sup>I-OIH、<sup>99m</sup>Tc-MAG3、あるいは<sup>99m</sup>Tc-DTPAを静脈投与すると、まず腎臓に集まり、その後尿管を経て膀胱へ排泄されます。そこで、ガンマカメラを背中から腰にかけてセットアップし、静脈投与時から開始してダイナミックスキャンを行うと（注２）、放射能がまず腎臓に集まりその後膀胱へと排泄されてゆく様子が画像化されます。左右それぞれの腎臓に関心領域（ROI）を設定し、腎臓の時間放射能曲線（TAC）を描くと、下の図のような曲線が得られます。これをレノグラムといいます。正常な腎臓では、まず腎臓に放射能が入り（血管相）、ついでゆっくりと集積が増加し（集積相または分泌相）、その後洗い出されてゆく（排泄相）という３相性の正常型レノグラムが得られます。尿管の閉塞があると、放射能が蓄積するばかりで排泄されません（閉塞型）。一方腎機能が低下してくると、正常型レノグラムのピークが低く遅くなります。さらに腎機能がひどく低下すると、最初に放射能が入るだけで蓄積も排泄もされません（無機能型）。このようにレノグラムを見るだけで、分腎機能のあらましがわかりますが、さらにカーブを解析して、ピークの高さや時間、カーブ下の面積、排泄速度などの定量的指標を得ることもできます。（注３）</p>
<p><sup>131</sup>I-OIHと<sup>99m</sup>Tc-MAG3は糸球体で濾過されかつ尿細管からも分泌されるので、その挙動は腎血漿流量を反映し、これをレノグラムから推定することもできます。一方<sup>99m</sup>Tc-DTPAは、糸球体で濾過されますが、尿細管からは分泌されず再吸収もされないので、その挙動から糸球体濾過量が推定できます。このように分腎機能を定量的に評価できるのが、腎動態検査の特徴です。</p>
<p>腎機能が低下すると一見閉塞型のレノグラムを呈することがあります。そこで、ダイナミックスキャンの最中にフロセミド（利尿剤）を静脈投与すると、もし利尿剤の負荷によって排泄が見られた（放射能の洗い出しが見られた）ならば、真の閉塞ではないことがわかります（利尿剤負荷腎動態検査）。</p>
<p>腎血管性高血圧では、片側の腎動脈の狭窄によって腎血流が低下します（注４）。腎動態（レノグラム）の検査を行うと、患側腎臓の機能低下がわかります。さらにカプトプリル（アンギオテンシン変換酵素阻害剤）を事前に経口投与して腎動態検査を行うと、アンギオテンシンIIの亢進が抑制されて患側糸球体濾過量が低下するため、レノグラムにて患側腎機能がより低下することがわかります。</p>
<p><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="Mr-PET_no30-2.JPG" src="http://www.asca-co.com/nuclear/Mr-PET_no30-2.JPG" width="600" height="250" class="mt-image-none" style="" /></span></p>
<p>&nbsp;</p>
<p>（２）腎シンチグラフィー</p>
<p><sup>99m</sup>Tc-DMSAは静脈注射すると、腎臓にて血中から尿細管細胞に取り込まれて蓄積します。尿にはほとんど排泄されないので、その集積は腎尿細管細胞の全般的機能を反映します。左右の腎臓の集積を比較すると分腎機能もわかります。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>注１：体液とは体内の液体成分をいい、細胞内液と細胞外液に分けられます。細胞外液はさらに、血液の細胞以外の成分（血漿）と、血管外の細胞外液からなります。体液の組成、すなわち電解質濃度（ナトリウムイオンやカリウムイオンなど）や水素イオン濃度（酸性アルカリ性）などは、たえず一定に保たれています。体液とくに細胞外液の性質が一定に保たれることは細胞が正常に働く上で必須で、ホメオスタシスあるいは内部環境の維持などと呼ばれ、腎臓はそのために最も重要な役割を演じています。</p>
<p>注２：ダイナミックスキャンおよび関心領域（ROI）と時間放射能曲線（TAC）については、本シリーズ第１８回参照。なお<sup>131</sup>I-OIHはガンマ線のエネルギーが高い<sup>131</sup>I標識のため画質がわるく、代わりに<sup>123</sup>I-OIHが用いられたこともありましたが、その後<sup>99m</sup>Tc-MAG3が開発されて良好なダイナミックスキャンの画像が得られるようになりました。</p>
<p>注３：「レノ」とは腎臓という意味です。レノグラフィーは、1970～80年代、まだガンマカメラの性能がわるくコンピュータも未発達で、ダイナミックスキャンをしてROIからレノグラムを得ることができなかった時代から行われていました。当時の方法は、指向性シンチレーションカウンタ（本シリーズ第１０回参照）を２台、患者の背中の左右の腎臓部にセットし、<sup>131</sup>I-OIH静脈注射後その計数率をアナログレコーダでチャート紙に印刷するという方法でした。このように、イメージングを行わずにある臓器の放射能集積を体外から測定する方法を「体外測定法」といいますが、どの部位の放射能を測定しているかが不明確なので最近はほとんど行われません。</p>
<p>注４：腎動脈が狭窄して腎血流が低下すると、患側腎臓でレニンの分泌が亢進し、それによってアンギオテンシンIの生成が亢進し、さらにアンギオテンシン変換酵素によってアンギオテンシンIIとなり、高血圧を来します。</p>]]>
        
    </content>
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    <title>第29回 甲状腺や副腎のイメージング</title>
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    <id>tag:www.asca-co.com,2010:/nuclear//3.353</id>

    <published>2010-09-09T01:32:21Z</published>
    <updated>2010-11-30T06:53:42Z</updated>

    <summary><![CDATA[&nbsp; 今回は、甲状腺、副甲状腺、副腎といった、内分泌系と呼ばれる臓器（内...]]></summary>
    <author>
        <name>アスカコーポレーション</name>
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        <category term="ミスターPET核医学教室" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.asca-co.com/nuclear/">
        <![CDATA[<p>&nbsp;</p>
<p>今回は、甲状腺、副甲状腺、副腎といった、内分泌系と呼ばれる臓器（内分泌腺）（注１）や、そこから発生する腫瘍のイメージングを説明します。これらの内分泌系の臓器は、ホルモンと呼ばれる微量の活性物質を産生して血液中に放出し、それがさまざまな臓器の細胞（標的細胞）に存在する受容体等を介してその細胞に指示を伝えることにより、生体の働きを調節します。つまり内分泌系の役割は情報伝達を行うことにあります（注２）。</p>
<p>　内分泌系の疾患では、ホルモンが不足したり過剰に産生されたりして、身体が変調をきたします。そこで、内分泌腺でのホルモン産生を反映して集積する放射性薬剤を投与し撮像すると、その内分泌腺の働きの程度がわかります。</p>
<p>　ホルモンが過剰に産生される原因としては、内分泌腺に対する何らかの刺激によってホルモン産生が亢進する場合（過形成）と、ホルモンを産生する腫瘍（機能性腫瘍という）が存在する場合があります。機能性腫瘍は、たとえ良性で小さくても過剰に産生されたホルモンによる症状が現れるので、切除を必要とする場合が多いです。機能性腫瘍が小さい場合や、多発性あるいは異所性（本来の臓器とは異なる部位）に存在する場合には、どこにあるかを見いだす局在診断に核医学イメージングが役立ちます。</p>
<p>ホルモンの産生には一般にフィードバック機構があり、正常状態では血中ホルモンレベルが一定になるように調節されていますが、機能性腫瘍は自律的にホルモンを産生しフィードバック機構が働かないため、血中ホルモン値が異常な高値になるわけです。</p>
<p>下表に、主な内分泌系のイメージングに用いられる放射性薬剤をあげました。これらはすべてシングルフォトンエミッタで、シンチグラフィー（平面撮影）やSPECT（断層撮影）あるいはSPECT/CTが行われます。</p>
<p>&nbsp;</p>
    <p><a href="http://www.asca-co.com/nuclear/Mr-PET_no29-2.JPG"><img width="500" height="345" style="" class="mt-image-none" src="http://www.asca-co.com/nuclear/assets_c/2010/09/Mr-PET_no29-2-thumb-500x345-142.jpg" alt="Mr-PET_no29-2.JPG" /></a></p>
    <p>（１）　甲状腺のイメージング</p>
<p>甲状腺は前頚部にある蝶のような形の臓器で、甲状腺ホルモン（T<sub>3</sub>, T<sub>4</sub>）を生成して分泌します。甲状腺ホルモンは全身の代謝を調節します。</p>
<p>甲状腺ホルモンにはヨウ素が含まれているため、放射性のヨウ素（<sup>123</sup>I, <sup>131</sup>I）を経口投与すると、甲状腺ホルモンの産生を反映して、原料として甲状腺に取り込まれます（注３）。また、<sup>99m</sup>TcO<sub>4</sub><sup>－</sup>はホルモンの原料とはなりませんが、静脈注射すると、ヨウ素イオンと同様に甲状腺に取り込まれます。そこで、これらを投与して、撮像すると、甲状腺の働きや形がわかります。投与した放射能の何％が甲状腺に取り込まれたか（甲状腺摂取率）を測定して、甲状腺のホルモン産生機能を評価することもできます。</p>
<p>臨床では、血中の甲状腺ホルモン値を測定できるので、甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症がわかりますが、その原因や程度、治療効果の評価に核医学イメージングが役立ちます。甲状腺機能亢進症の原因としてよく見られるバセドウ病では、腫大した甲状腺全体に強い放射能集積が見られます。プラマー病（機能性腫瘍）では甲状腺ホルモン産生腫瘍に放射能が強く集積する一方、正常甲状腺部は集積が無くなります。これは、血中甲状腺ホルモンが高値になるとフィードバックのために脳下垂体から分泌されるTSH（甲状腺刺激ホルモン）が低値となり、正常な甲状腺はTSHに支配されるため機能が抑制されるからです。亜急性甲状腺炎では、甲状腺が破壊されて放出される甲状腺ホルモンによってTSHが低値となるため、同様のメカニズムで甲状腺全体に放射能集積がきわめて低くなります。一方、甲状腺機能低下症では、放射能の集積が低下します。</p>
<p><br /></p>
<p>（２）副甲状腺のイメージング</p>
<p>副甲状腺は上皮小体とも言い、通常は甲状腺の裏側に４個ある豆粒のような臓器です。副甲状腺ホルモン（PTH）はカルシウムを調節する働きがあり、副甲状腺機能亢進症（PTH過剰分泌）になると、骨のカルシウムが溶け、血中のカルシウムが高値となり、腎臓に結石ができやすくなります。副甲状腺機能亢進症の原因としては、PTH産生腫瘍（機能性腫瘍）が多いですが、４つのうちどこに腫瘍があるか（多発性に発生することもあります）、あるいは異所性の場合どこにあるかの診断に、核医学イメージングが役立ちます。<sup>99m</sup>Tc-MIBI（注４）を静脈注射すると、早期には甲状腺にも集まりますが、時間がたつと甲状腺から洗い出され、腫瘍のある副甲状腺が陽性に描出されます。撮像にSPECT/CTを用いると、手術のための部位の特定が容易になります。</p>
<p><br /></p>
<p>（３）副腎皮質のイメージング</p>
<p>副腎は、腎臓の上内側にある三角形の小さな臓器で、中央に髄質、周囲に皮質があります。副腎皮質では、糖代謝やタンパク質代謝を調節するコルチゾール、腎臓における電解質の排泄を調節するアルドステロン、および男性ホルモンなどが産生されます。これらはいずれもステロイドホルモンで、コレステロールから生成されます。そこで、コレステロールを<sup>131</sup>I標識した<sup>131</sup>I-アドステロールを静脈注射して７日後に撮像すると、ステロイドホルモンを産生している副腎皮質に放射能が集積します（撮像まで時間がかかるので<sup>123</sup>Iでなく半減期の長い<sup>131</sup>Iで標識されたものを使います）。</p>
<p>また、副腎皮質でのコルチゾールの産生は脳下垂体から分泌される副腎皮質刺激ホルモン（ACTH）に支配されていて、フィードバックを受けます。</p>
<p>クッシング症候群とは、血中コルチゾールが高値となり、満月様顔貌などの特徴的症状をきたす状態を言います。その原因として、副腎皮質にコルチゾールを分泌する機能性腫瘍が存在する場合には、腫瘍に<sup>131</sup>I-アドステロールが強く集積する一方、反対側の正常副腎はフィードバックによりACTHが低値となって機能が抑制されるので<sup>131</sup>I-アドステロールが集積しません。これに対して、脳下垂体にACTH産生腫瘍がある場合には（脳下垂体以外に異所性ACTH産生腫瘍が発生する場合もあります）、両側の副腎が等しく刺激されてコルチゾールを産生するので、両側副腎で<sup>131</sup>I-アドステロールの集積が亢進します。</p>
<p>アルドステロンが高値となる疾患もあります。原発性アルドステロン症は、機能性腫瘍によってアルドステロンが過剰に産生される疾患で、高血圧などの症状が現れます。局在診断のために同様に<sup>131</sup>I-アドステロールによるイメージングが用いられます。</p>
<p><br /></p>

<p>（４）副腎髄質のイメージング</p>
<p>副腎髄質はアドレナリンやノルアドレナリンといったいわゆるカテコラミンを分泌します。</p>
<p>褐色細胞腫はカテコラミン分泌細胞の腫瘍で、ノルアドレナリンが高値となるため、高血圧などの症状が現れます。MIBGはノルアドレナリンの類似物質で、褐色細胞腫によく取り込まれます（注５）。褐色細胞腫は必ずしも片側副腎に良性腫瘍として発生するとは限らず、ときに交感神経終末などから異所性や多発性に発生することもあり、悪性となって転移することもあるので、腫瘍の局在を知るためにMIBGによるイメージングが役立ちます。</p>
<p>褐色細胞腫の類縁疾患として、神経芽細胞腫、カルチノイド、甲状腺髄様癌などがあり、これらの腫瘍でもMIBGによるイメージングが用いられます。</p>
<p><br /></p>

<p>注１）　分泌とは、臓器（細胞）が特殊な物質を放出することを言います。分泌する働きをもつ臓器を腺（せん）、分泌細胞を腺細胞と呼び、体外に分泌する場合を外分泌、体内（血液中）に分泌する場合を内分泌と言います（内分泌される活性物質がホルモンです）。外分泌腺の例としては、胃の粘膜にあって胃液を分泌する胃腺（胃の中は身体の「外」）、唾液腺、乳腺、汗腺などがあります。内分泌腺は上の表以外に、内分泌系の「親玉」にあたる脳下垂体、インスリンとグルカゴンを分泌する膵臓のランゲルハンス島、性ホルモンを分泌する精巣と卵巣、などがあります。</p>

<p>注２）　神経系も情報伝達を行います。神経細胞（ニューロン）からは突起（軸索）が伸びていて、その中を電気信号が伝わると、その終点のシナプスと呼ばれる相手の細胞と近接したところで神経伝達物質が細胞の外に放出され、それが相手の細胞の受容体に結合すると情報が伝達されます。このように、内分泌系では体内を流れる血液を介して広く情報が伝えられ、神経系では突起が伸びた先のごく限られた細胞にのみ情報が伝えられますが、細胞外に放出された物質（ホルモンや神経伝達物質）が標的細胞の受容体などを介して情報を伝える点は同じです。また、古典的なホルモンは血中に放出されるもの（循環ホルモン）を言いますが、ホルモンが細胞のすぐ近くに放出され（旁分泌という）、細胞間隙を拡散によって移動し分泌した細胞自身やその周囲の細胞に働く場合があることもわかり、そのようなホルモンは組織ホルモンあるいは局所ホルモンと呼ばれています。</p>

<p>注３）　放射性ヨウ素によるイメージングでは、体内にヨウ素が多くあると競合して甲状腺に取り込まれません。日本の食品にはたいていヨウ素が含まれているため、前処置としてヨード制限食を行います。</p>

<p>注４：MIBIは心筋血流のイメージングにも用いられます。（本シリーズ第２６回参照）</p>

<p>注５：MIBGは心筋交感神経のイメージングにも用いられ、心筋交感神経終末にてノルアドレナリンの再吸収機構に乗って取り込まれます（本シリーズ第２６回参照）。褐色細胞腫への集積も同じメカニズムによると言われています。</p>]]>
        
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    <title>第28回 肝臓や消化管のイメージング</title>
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    <published>2010-08-05T09:35:14Z</published>
    <updated>2010-08-19T02:57:09Z</updated>

    <summary><![CDATA[&nbsp; それほど頻度は多くありませんが、唾液腺（だえきせん）、肝臓、消化管...]]></summary>
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        <name>アスカコーポレーション</name>
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        <category term="ミスターPET核医学教室" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.asca-co.com/nuclear/">
        <![CDATA[<p>&nbsp;</p>
<p>それほど頻度は多くありませんが、唾液腺（だえきせん）、肝臓、消化管など消化器系のシンチグラフィー（ときにSPECT検査）が、下の表にあげた放射性医薬品を用いて行われています。なお、この分野ではPETはほとんど用いられません。</p>
<a href="http://www.asca-co.com/nuclear/Mr-PET_no28.JPG"><img alt="Mr-PET_no28.JPG" src="http://www.asca-co.com/nuclear/assets_c/2010/08/Mr-PET_no28-thumb-581x400-137.jpg" class="mt-image-none" style="" /></a>
<p>&nbsp;</p>
<p>（１）唾液腺のイメージング</p>
<p><sup>99m</sup>TcO<sub>4</sub><sup>-</sup>（過テクネシウム酸）はCl<sup>-</sup>（塩素イオン）と似た性質があり、唾液腺が唾液を作るために血液中からCl<sup>-</sup>などを取り込む際に一緒に取り込まれます。<sup>99m</sup>TcO<sub>4</sub><sup>-</sup>を静脈注射してガンマカメラで撮影すると、唾液腺（耳下腺と顎下腺）が画像化され、さらにレモン汁を飲ませると唾液と一緒に口腔内に分泌されます。唾液生成障害をきたす疾患では集積が低下します。また、唾液腺の腫瘍のうち、ワルチン腫瘍には<sup>99m</sup>TcO<sub>4</sub><sup>-</sup>が周囲の正常部に比べて多く取り込まれ、一方唾液腺癌には取り込まれず欠損像となるため、鑑別に役立ちます。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>（２）肝機能のイメージング</p>
<p><sup>99m</sup>Tc-GSA（ガラクトシルアルブミン）は、アシアロ糖タンパクといって、血清糖タンパクのシアル酸が除去されガラクトースという糖が表面に露出しているタンパク質を<sup>99m</sup>Tcで標識したもので、肝細胞の表面の受容体を介して肝細胞に取り込まれます。肝機能が障害されると取り込みが低下するので、慢性肝炎や肝硬変などで、肝臓の機能を評価することができます。腫瘍などで肝切除手術を行う場合、残存肝機能の予測にも用いられます。</p>
<p>以前は、肝機能のイメージングに<sup>99m</sup>Tc-フチン酸コロイドや<sup>99m</sup>Tc-スズコロイドがよく用いられました。肝臓にはクッパー細胞という、異物を貪食（どんしょく＝食べるように細胞内に取り込む）する細胞があり、コロイド（微粒子）を取り込むため、<sup>99m</sup>Tc標識したコロイドを静脈注射すると肝臓が画像化されます。脾臓や骨髄にも網内系細胞と呼ばれる貪食細胞があるため同時に画像化され、とくに肝機能が低下するとこれら肝臓以外への集積が高まります。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>（３）胆道のイメージング</p>
<p>肝臓はさまざまな物質を取り込んで代謝し（多くの場合グルクロン酸という物質を抱合（ほうごう）させて）、胆汁として胆管に排泄します。胆汁は胆嚢に蓄えられ、十二指腸に排出されて腸管にて消化を助けますが、不要になった物質を体外に排出する役割もあります。<sup>99m</sup>Tc-PMTはこの過程を経て処理されるので、静脈注射後ガンマカメラでダイナミックスキャンを行うと、まず肝臓が画像化され、ついで放射能が肝実質から胆管や胆嚢に移動し、最後に腸管が描出されます。臨床的に肝・胆道シンチグラフィーは、肝臓からの胆汁排泄機能と胆道の閉塞をみるために用いられます。たとえば、黄疸（注１）の原因を診断したり、胆嚢炎など胆管の通過障害をおこす疾患を診断したり、あるいは先天性の胆道閉鎖の診断にも用いられます。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>（４）門脈のイメージング</p>
<p>普通の臓器は、心臓からの動脈が入って枝分かれして毛細血管となり、それが合流して静脈となって臓器から出て心臓に戻ります。ところが腸管では、毛細血管が合流すると門脈という血管になり、それが肝臓に入って再び枝分かれし、最後に肝静脈として肝臓から出て心臓に戻ります。肝臓は腸管で吸収された栄養分や有毒物質を処理するので、腸管から出てくる血液をいったんすべて肝臓で受ける、というこの仕組みは都合よくできています。</p>
<p>門脈のイメージングでは、肛門からチューブを直腸に入れて<sup>201</sup>TlClまたは<sup>123</sup>IMPを注入し、腹部をガンマカメラでダイナミックスキャンすると、門脈ついで肝臓が描出されます。肝硬変などで門脈の流れがわるくなると、門脈の血液の一部が肝臓を通らずに直接静脈に流れるため、肝臓の集積が低下します。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>（５）メッケル憩室（異所性胃粘膜）のイメージング</p>
<p>胃の粘膜の細胞は、血液中から物質を取り込んで胃液をつくり分泌します。<sup>99m</sup>TcO<sub>4</sub><sup>-</sup>（過テクネチウム酸）を静脈注射すると、Cl<sup>-</sup>などと同様に胃の粘膜に取り込まれるので、胃が描出されます。</p>
<p>まれに、メッケル憩室といって、小腸にくぼみがありそこに胃の粘膜があって（異所性胃粘膜）、炎症を起こし腹痛や下血の原因となることがあります。<sup>99m</sup>TcO<sub>4</sub><sup>-</sup>を静脈注射して撮影すると、腹部に異常集積として描出されます。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>（６）消化管からの出血</p>
<p>消化管からの出血が疑われるが部位がわからない場合、<sup>99m</sup>Tc-RBC（<sup>99m</sup>Tc標識赤血球）を静脈注射して経時的にガンマカメラで撮影すると、腸管内に出血した血液が描出され、腸管の中を移動するようすがわかります。<sup>99m</sup>Tc-RBCは患者自身の赤血球を<sup>99m</sup>Tcで標識したものを用います（注２）。出血が断続的に起こる場合でも検査時に出血があれば画像化できますが、あまりに微量の出血はわかりません。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>（７）消化管からのタンパク漏出</p>
<p>低タンパク血症の原因として消化管からタンパクが漏出する場合があります。<sup>99m</sup>Tc-HSA-DTPAはタンパク質（アルブミン）を<sup>99m</sup>Tc標識した薬剤で、静脈注射したのち時間経過を追って撮影すると、漏出があれば腸管が描出されるので、その部位を画像化することができます。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>（８）消化管の運動と通過時間</p>
<p>　<sup>99m</sup>Tc-DTPAを飲食物と一緒に経口摂取させ、ガンマカメラで経時撮影すると、食道、胃、小腸、大腸と移動するようすがわかります。消化管の運動低下や亢進、逆流、通過障害などをきたす疾患の診断に用いられます。</p>
<p>　</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>注１）黄疸は、肝臓における胆汁の生成や排泄の障害あるいは胆管の通過障害によって、胆汁の成分であるビリルビンがいわば肝臓から血液に逆流することによっておこります。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>注２）<sup>99m</sup>Tcはジェネレータ（本シリーズ第４回参照）から生理食塩水で抽出されると、過テクネシウム酸（<sup>99m</sup>TcO<sub>4</sub><sup>-</sup>）の形で得られます。<sup>99m</sup>TcO<sub>4</sub><sup>-</sup>において、<sup>99m</sup>Tc原子は７価（電子が７つ奪われた形）になっています。<sup>99m</sup>Tcは還元される（奪われた電子が戻される）とさまざまな化合物に結合するという性質があるので、<sup>99m</sup>Tcで化合物を標識する際には、塩化第一スズなどの還元剤（電子を与える薬品）を用いて、３価ないし４価に還元します。赤血球を<sup>99m</sup>Tcで標識する場合は、塩化第一スズピロリン酸を静脈注射した後、採血して得た赤血球に<sup>99m</sup>TcO<sub>4</sub><sup>-</sup>を加えると、赤血球内のヘモグロビンに<sup>99m</sup>Tcが結合し、赤血球を標識することができます。また、この標識をより簡便に体内で行うこともでき、予め塩化第一スズピロリン酸を静脈注射した後<sup>99m</sup>TcO<sub>4</sub><sup>-</sup>を静脈注射すると、体内にて赤血球を<sup>99m</sup>Tcで標識できます。</p>]]>
        
    </content>
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    <title>第27回 肺機能のイメージング</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.asca-co.com/nuclear/2010/06/post-29.html" />
    <id>tag:www.asca-co.com,2010:/nuclear//3.327</id>

    <published>2010-06-29T09:20:31Z</published>
    <updated>2010-09-14T09:29:46Z</updated>

    <summary>肺は、ガス交換をします。すなわち、空気中の酸素ガスを体内に取り込む一方、体内で産...</summary>
    <author>
        <name>アスカコーポレーション</name>
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        <category term="ミスターPET核医学教室" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.asca-co.com/nuclear/">
        <![CDATA[<p>肺は、ガス交換をします。すなわち、空気中の酸素ガスを体内に取り込む一方、体内で産生された炭酸ガス（二酸化炭素ガス）を体外に排出します。身体が働くためには、糖や脂肪などのエネルギー源を酸素で分解して（燃やして）水と炭酸ガスにしますが、その際に酸素ガスが必要となり、炭酸ガスが発生します。ガス交換によって肺で取り込まれた酸素ガスは赤血球のヘモグロビンに結合して全身に運ばれ、また、全身で発生した炭酸ガスは血液に溶けて肺に集められます。</p>
<p>鼻や口から吸入された空気は、喉頭（こうとう＝のど）で食道と分かれて気管に入り、胸の中央にある気管分岐部で２つの気管支に分かれて左右の肺に行きます。気管支はさらに２分岐を繰り返して数十万本の細気管支を呼ばれる細い管になり、その先は数億個の肺胞と呼ばれる小さな空気の袋につながっています。一方、肺へ行く血液は、全身から集まった静脈が心臓の右心室を経て肺動脈となって肺へ行き、これも分岐を繰り返して、無数の細い毛細血管となって肺胞の表面を取り囲み、ガス交換をします（注１）。ガス交換を終えた血液は、毛細血管が合流を繰り返して肺静脈となって左心房に戻り、左心室から大動脈となって全身に向かいます。</p>
<p>したがって、肺機能のイメージングでは、「換気」と「血流」の２つが重要な要素となります。下の表は、肺機能の核医学イメージングで用いられる放射性薬剤です。なお、肺は構造が比較的単純で、細かい部位診断はそれほど重要ではないので、SPECT（断層画像）でなくシンチグラフィーで済ませることも多いです。</p>
<p>&nbsp;</p>
    <a href="http://www.asca-co.com/nuclear/Mr-PET_no27.JPG"><img width="500" height="232" alt="Mr-PET_no27.JPG" src="http://www.asca-co.com/nuclear/assets_c/2010/06/Mr-PET_no27-thumb-500x232-135.jpg" class="mt-image-none" style="" /></a>
<p>&nbsp;</p>
<p>（１）肺血流のイメージング</p>
<p><sup>99m</sup>Tc-大凝集アルブミン（MAA）は、ヒト血清アルブミンというタンパク質を凝集して微細な粒状にしたものを<sup>99m</sup>Tcで標識した薬剤です。静脈注射すると、肺動脈から肺血流に応じて肺毛細血管に運ばれ、引っかかるので、肺血流の分布がわかります（注２）。</p>
<p><sup>99m</sup>Tc-大凝集アルブミンは肺塞栓症（注２）の診断にもっともよく用いられます。肺塞栓症は下肢の深部静脈血栓症や外傷などが原因でおこりますが、エコノミークラス症候群といって長時間座位を続けるとおこることもあります。肺塞栓症は、肺動脈の太い枝に多発性に塞栓がおこるので、肺血流シンチグラフィーで多発性にくさび形の欠損が描出され、診断や治療効果の評価に役立ちます。</p>
<p><sup>99m</sup>Tc-大凝集アルブミンは、右左シャントの評価にも用いられます。心臓の先天異常などで右心系から左心系へのシャント（短絡）があると、<sup>99m</sup>Tc-大凝集アルブミンの微細粒子が肺へ行かずに直接大動脈に流れ込むため、肺のみならず脳、甲状腺、腎臓、肝臓、脾臓といった臓器（体循環系の臓器）が写ります。ここからシャント率すなわち循環血液の何％がシャントを流れているかを測定することも可能です。</p>
<p><br /></p>
<p>（２）肺換気のイメージング</p>
<p>不活性でほとんど体内に取り込まれない放射性ガスを吸入させて撮像すると、肺の換気の分布がわかります。</p>
<p><sup>133</sup>Xe-キセノンガスは半減期が比較的長い（5.3日）ので、まず吸入させ息をとめて撮影する（吸入相）と換気の分布がわかり、次に閉鎖回路（呼出した空気をそのまま吸入させる）でしばらく呼吸させてから撮影する（平衡相）と換気の悪い部位にも入って行くので肺容量の分布がわかり、その後新鮮な空気を吸入させる（洗い出し相）と換気の悪い部位に放射能が残ります。一方、<sup>81m</sup>Kr-クリプトンガスは、半減期がきわめて短い（13秒）ので、吸入させながら撮影すると換気の分布がわかります。これに対して、<sup>99m</sup>Tc-テクネガスは、空気中に<sup>99m</sup>Tcで標識されたきわめて小さい炭素の微粒子が浮遊していて、吸入させると肺胞に到達し沈着するので、換気の分布がわかります。（注３、４）</p>
<p>　肺気腫や慢性気管支炎など慢性閉塞性肺疾患と呼ばれる病気では、気管支・細気管支の狭窄や肺胞の破壊が起こって換気が障害されるため、肺換気のイメージングで換気の欠損や不均一として画像化され、病変の分布や重症度を評価することができます。</p>
<p>また、肺換気のイメージングは、上に述べた肺塞栓症の診断において、<sup>99m</sup>Tc-大凝集アルブミンによる肺血流イメージングとセットでよく用いられます。肺血流画像にて欠損があるのに肺換気画像で欠損がない（換気血流ミスマッチと言う）場合には、肺塞栓症が強く疑われます。一方、肺気腫や慢性気管支炎など気道系の病気では、病変部位では換気と血流の両方が低下します（換気血流がマッチする）。これは、肺血流が換気によって調節されているからです。（注５）<br /><br /></p>

<p>注１）　吸気によって肺胞内に流入する空気（吸入気）と、肺動脈から毛細血管内に到着する血液（静脈血）とでは、酸素ガス分圧は吸入気の方が大きく、炭酸ガス分圧は静脈血の方が大きいため、酸素ガスも炭酸ガスも圧力の勾配に従って移動し、ガス交換が起こります。その結果、それぞれのガスに関して、肺胞内と毛細血管内の分圧が速やかに等しくなります。</p>
<p class="MsoNormal" style="margin-left: 10.5pt;"></p>
<p>注２）　一般に血管内を流れる粒子が血管内径の細いところに引っかかることを「塞栓＝そくせん」と言います。塞栓がおこるとその先の血流が途絶するため、病気になることがあります（塞栓症）。病気としての塞栓症は、通常、血の塊（血栓＝けっせん）が比較的太い血管に塞栓をおこします。なお、肺血流シンチグラフィーでは、大凝集アルブミン（MAA）粒子が非常に小さくて太い血管ではなく毛細血管で引っかかりMAA粒子よりも毛細血管の数が圧倒的に多いこと、またMAAはそのうち溶けるので、肺血流シンチグラフィー検査によって塞栓症の副作用が起こることはありません。</p>
<p></p>
<p>注３）　<sup>99m</sup>Tc-テクネガスは、炭素るつぼを用いて発生させます。厳密にはガスではなくエーロゾル（＝気体中に固体や液体の微粒子が浮遊しているもの）ですが、粒径が非常に小さいのでガスのように振舞います。</p>

<p>注４）　肺換気のイメージングではありませんが、粒径のより大きい放射性エーロゾル（<sup>99m</sup>Tc-HSAエーロゾルや<sup>99m</sup>Tc-DTPAエーロゾルなど）も肺の核医学検査に用いられます。これは、<sup>99m</sup>Tcの溶液を超音波ネブライザにかけて発生させるもので、吸入させると、気管支の狭窄など気道の途中で換気が乱れた部位に沈着し、その先には入りません。さらに、時間経過を追って撮影すると、気道に沈着した放射性同位元素が痰のように粘液とともに気道内面の線毛運動によって喉頭へと排出されるようすが画像化され、粘液線毛輸送を評価することもできます。また、<sup>99m</sup>Tc-DTPAは肺胞まで到達すると血中に移行するので、肺胞透過性を評価することもできます。これらは、エーロゾル肺吸入シンチグラフィーなどと呼ばれます。</p>
<p></p>
<p>注５）　もし換気が無い部位に血流があると、そこへ行った血液はガス交換をせずに（酸素化されずに）左心房に戻ることになり、その分、大動脈の血液に含まれる酸素が少なくなります。換気にあわせて血流が調節されるというメカニズムは、それをある程度防いでいます。</p>
<p></p>]]>
        
    </content>
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    <title>第26回 心臓の核医学イメージング</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.asca-co.com/nuclear/2010/05/post-28.html" />
    <id>tag:www.asca-co.com,2010:/nuclear//3.312</id>

    <published>2010-05-24T09:59:36Z</published>
    <updated>2010-09-14T09:34:14Z</updated>

    <summary><![CDATA[&nbsp;心臓の核医学イメージングでは、さまざまな放射性薬剤を用いることによっ...]]></summary>
    <author>
        <name>アスカコーポレーション</name>
        <uri>http://www.asca-co.com/mt/mt-cp.cgi?__mode=view&amp;blog_id=3&amp;id=1</uri>
    </author>
    
        <category term="ミスターPET核医学教室" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.asca-co.com/nuclear/">
        <![CDATA[<p>&nbsp;</p><p>心臓の核医学イメージングでは、さまざまな放射性薬剤を用いることによって、心筋の血流、代謝、交感神経機能などがわかります。また、心電図同期撮影によって心筋の動き（収縮）を評価することもできます。さらに研究として心筋の受容体（レセプタ）などのイメージングも行われています。</p>
<p>&nbsp;</p>
    <img width="572" height="340" style="" class="mt-image-none" src="http://www.asca-co.com/nuclear/Mr.PET-no26.JPG" alt="Mr.PET-no26.JPG" />
<p>&nbsp;<br /></p>
<p>（１）心筋血流のイメージング</p>
<p>心筋血流SPECT製剤である<sup>201</sup>Tl-塩化タリウム、<sup>99m</sup>Tc-sestamibi（MIBI）、<sup>99m</sup>Tc-tetrofosmin（TF）は、いずれも注射したときの血流に応じて心筋に分布します。このうち、タリウムイオン（<sup>201</sup>Tl<sup>+</sup>）はカリウムイオン（K<sup>+</sup>）と同じように能動輸送によって心筋に取り込まれます。また、MIBIとTFは拡散によって心筋に取り込まれます（注１）。PETで用いられる<sup>13</sup>NH<sub>3</sub>は拡散によって心筋に取り込まれ、グルタミンとなってとどまります。</p>
<p>心筋のイメージングでは断層画像（SPECTやPET）を撮ります。心臓は体軸に対して傾いているので、斜めの断面像を作成することによって、心軸に垂直な短軸断層像（左心室壁の心筋がドーナツ状に描出される）や、心軸に平行な長軸断層像にて、読影評価します。</p>
<p>冠動脈（心筋を栄養する動脈。心臓の外壁を「冠」のようにとりまく）が動脈硬化や血栓（血の塊）によって閉塞する（へいそく＝つまる）と、その先への血流が減るため、「虚血（きょけつ）」という状態になり、さらに進むと心筋の一部が死んでしまう「心筋梗塞（こうそく）」となります。したがって、心筋梗塞や高度の虚血の部位は、心筋血流イメージングで欠損や集積低下として描出されます。一方、冠動脈の狭窄（きょうさく＝せまくなる）があっても、軽度であれば、安静時には血流が保たれるので心筋血流イメージングで異常がありません。しかし、運動すると、心筋が多くの酸素と栄養を必要とするため正常な心筋の血流は増えますが、冠動脈狭窄がある部位の心筋の血流は十分増えず、心筋血流イメージングで欠損として現れます。臨床的には、運動すると心筋虚血によって胸痛をきたす患者があり、「労作性狭心症」と呼ばれます。労作性狭心症では、虚血心筋は、心筋血流イメージングで安静時に血流が保たれ運動時に欠損を呈します。なお、高齢者など十分運動ができない患者では、運動させる代わりに薬で冠動脈血流を増やす薬物負荷によって検査を行います。このように、虚血性心疾患では安静時と負荷時にそれぞれ放射性薬剤を注射して撮像し、安静時と負荷時の血流画像を比較することが一般に行われます。</p>
<p><sup>201</sup>Tlは時間がたつにつれて心筋からゆっくりと洗い出されて、それがその後の血流に応じて再び心筋に取り込まれ保持される部位に残ります（再分布）。そこで運動時または薬物負荷時に<sup>201</sup>Tl-塩化タリウムを注射して負荷時の心筋血流画像をまず撮像し、２時間の安静の後に再分布画像を撮像して安静状態の血流画像を得る、という方式でも検査が行われます。（MIBIやTFは再分布しないので２回注射が必要です）。</p>
<p>心筋血流イメージングでは、心電図同期撮影（注２）をすることによって、各心時相の画像を得ることができ、そこから心筋の動き（拍動）や心内腔の容積、拍出量など、血液を送り出すポンプとしての心機能を測定することができます。<br /><br /></p>

<p>（２）心筋代謝のイメージング</p>
<p>心筋は主に脂肪酸をエネルギー源としています。<sup>123</sup>I-BMIPPは脂肪酸を<sup>123</sup>Iで標識した放射性医薬品でエネルギーを使っている心筋に取り込まれます。</p>
<p>急性の心筋梗塞の患者では、発生直後に閉塞した冠動脈を再開通させることによって梗塞になりかけた心筋を救う治療が行われます。このようにして血流が回復した心筋では、しばらくの間心筋の動き（収縮）が低下することがあり、「気絶心筋」と呼ばれています。これは、血流が回復しても代謝がすぐには回復せず、エネルギーが使えないためです。SPECTを行うと、気絶心筋は<sup>201</sup>Tlなどによる心筋血流イメージングでは集積が見られますが、<sup>123</sup>I-BMIPPの集積が低下します。</p>
<p>心筋は、食後などインスリンや血糖の高い状態では、ブドウ糖もエネルギー源とします。そこでFDGを用いてPET撮像すると、心筋のブドウ糖代謝がわかります。冠動脈閉塞や狭窄のある患者では、冠動脈を広げたりバイパス血管を取り付けたりして血行を再建する治療が行われますが、すでに死んでしまった心筋に対しては血行を再建しても動きは改善しません。心筋が真に回復しうる（バイアブル）かどうかを判定するために、ブドウ糖負荷のもとにFDGによるPET検査が行われることがあります。ブドウ糖負荷のもとでFDGの集積があれば、バイアブルな心筋であると考えられます。<br /><br /></p>

<p>（３）心筋交感神経のイメージング</p>
<p>心筋には、心拍数や収縮の強さを調節するために、自律神経（交感神経と副交感神経）が分布しています。<sup>123</sup>I-MIBGは交感神経の終末に取り込まれます。交感神経は虚血に弱いと言われており、冠動脈の閉塞や狭窄によって「除神経」と呼ばれる交感神経が破壊された状態になると、心筋の血流が保たれていても<sup>123</sup>I-MIBGの集積が低下します。また、心不全（心臓全体としての血液を送り出すポンプ機能がわるくなる状態）になると、交感神経終末が異常をきたすことが知られており、<sup>123</sup>I-MIBGの集積が低い心不全患者は予後が悪いことが知られています。<br /><br /></p>
<p>注１：能動輸送とは、膜を通して低濃度側から高濃度側へと、濃度勾配に逆らって物質が輸送されることをいいます（注：電気を帯びた物質の場合には単に濃度差だけでなく膜の電位差も関係します）。そのために、膜に「ポンプ」などと呼ばれるタンパク質があって、いわば低いところから高いところに汲み上げるように、エネルギーを使って物質を輸送します。これに対して、拡散あるいは受動輸送とは、高濃度側から低濃度側へと勾配に従って物質が輸送されることをいいます。多くの物質は膜を自由に通過できませんが、膜には「チャンネル」と呼ばれるタンパク質でできた扉付きの穴があって扉が開くと物質が通るようになっていたり、あるいは膜に「トランスポータ」と呼ばれるタンパク質の「船」があってそれに乗って物質が膜を通過します。</p>

<p>注２：同期（ゲート）とは何かにタイミングをあわせてデータ収集することを言います。心電図同期撮影では、心電図のR波（各部位の心筋に収縮のタイミングを伝える刺激伝導系を電気信号が通り抜けるときに出る波。収縮が始まる直前すなわち拡張末期のしるし）にあわせて１フレーム数十ミリ秒の速いダイナミックスキャン（本シリーズ第１８回参照）を行い、次の心拍のR波が来れば、最初に戻って、第１フレームからそれまでのデータの上に足し込んでゆきます。そのようにして数百心拍加算すると、心臓の拍動にあわせた、R波から始まる各時相の画像が得られ、これを動画で表示すれば心臓の動きがわかります。さらに、心筋SPECT画像を三次元的に扱って、各時相での心内腔の容積を計算すれば、拡張末期と収縮末期の左心室の容積が計算でき、心拍出量もわかります。</p>]]>
        
    </content>
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    <title>第25回 脳におけるさまざまな分子のイメージング</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.asca-co.com/nuclear/2010/05/post-27.html" />
    <id>tag:www.asca-co.com,2010:/nuclear//3.297</id>

    <published>2010-05-07T07:07:16Z</published>
    <updated>2010-09-14T09:34:30Z</updated>

    <summary><![CDATA[&nbsp;脳の核医学イメージングでは、さまざまな放射性薬剤を用いることによって...]]></summary>
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        <category term="ミスターPET核医学教室" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.asca-co.com/nuclear/">
        <![CDATA[<p>&nbsp;</p><p>脳の核医学イメージングでは、さまざまな放射性薬剤を用いることによって、受容体（レセプタ）など脳における特定の分子（ターゲット）の働きを画像化することができます。本シリーズで前回述べた「血流」や「代謝」のイメージングでは脳の全般的働きがわかりますが、今回述べる受容体など特定の分子を画像化すれば、ずばり病気の本態や治療効果に迫れることもあります。下の表に脳における特定の分子（ターゲット）をイメージングする放射性薬剤の例をいくつかあげます。これ以外にも百を超える多数の放射性薬剤が開発され、脳のさまざまなターゲット分子のイメージングに研究利用されています。</p>
    <a href="http://www.asca-co.com/nuclear/mrpet_no25.jpg"><img width="495" height="347" alt="mrpet_no25.jpg" src="http://www.asca-co.com/nuclear/assets_c/2010/05/mrpet_no25-thumb-495x347-129.jpg" class="mt-image-none" style="" /></a>
<p>&nbsp;</p>
<p>&nbsp;（１）ドパミン系神経伝達機構のイメージング<br />
脳は多数の脳細胞がそれぞれ枝を伸ばし、シナプスと呼ばれる接続部で相手の脳細胞に情報伝達をしていますが、そのシナプスでは、情報を送る側（シナプス前、節前）の細胞から神経伝達物質という特殊な物質が放出され、情報を受け取る側の細胞（シナプス後、節後）の細胞の表面にある受容体（レセプタ）に結合することによって、情報伝達が起こります。神経伝達物質は数多くの種類があり、受容体もそれに応じて異なります。脳の病気には、特定の神経伝達物質や受容体の異常に関係するものがあるので、それらを画像化すれば正確な診断と重症度の評価ができ、治療効果の評価も可能となります。<br />
ドパミンは神経伝達物質のひとつでパーキンソン病と密接な関係があります。核医学ではこのドパミン系神経伝達機構のイメージングが最も研究開発が進んでいます。<br />
18F-FDOPAはDOPA（ドーパ）というドパミンの原料をフッ素-18（18F）で標識した放射性薬剤で、DOPAと同じようにドパミン系節前細胞に取り込まれて18F-フルオロドパミンに変わり、節前終末に蓄えられるので、放射能集積からドパミン系節前細胞の機能がわかります。また、節前細胞の表面にはドパミントランスポータといって、放出したドパミンを再び取り込む機構がありますが、123I-FP-CITや11C-CFTはドパミントランスポータに結合するので、同様にドパミン系節前細胞の機能がわかります。これに対して、123I-IBZMや11C-RACは、ドパミン受容体（詳しくはD2タイプの受容体）に結合するので、ドパミン系神経伝達機構における節後の機能がわかります。<br />
ドパミン系の神経伝達は脳の深部にある線条体（せんじょうたい）と呼ばれるところで行われます。パーキンソン病では、線条体でのドパミン系節前細胞の機能が低下するので、18F-FDOPAで画像化すると、線条体の放射能の取り込みが低下します。一方節後の受容体は最初のうちは傷害されないか、またはむしろ代償的に亢進するので、11C-RACで画像化すると線条体の放射能集積は正常か亢進します。これに対して、パーキンソン病とよく似た症状を呈する多系統萎縮症などパーキンソン症候群と呼ばれる疾患群では、節後の細胞が傷害されるので、11C-RACでドパミン受容体を画像化すると線条体の放射能集積が低下します。このように、ドパミン系神経伝達機構の異常でパーキンソン病様の症状（パーキンソニズム）をきたすいくつかの似た疾患を、PETやSPECTを用いて鑑別することができます。シナプスでの節前と節後のすきま（シナプス間隙）はきわめて狭く電子顕微鏡でなければ見えませんが、このように核医学イメージングを用いれば節前と節後のどちらが傷害されているかを見分けることができます。<br />
ドパミン系以外にも、セロトニン、アセチルコリンなど、さまざまな神経伝達物質があり、それぞれの神経伝達機構を画像化する放射性薬剤の開発が進められています。<br />
また、一般に脳の薬は受容体やトランスポータに効くものが多くあるので、脳疾患の患者においてこれらの薬が効くか、効いているかを見るために、核医学イメージングが用いられることもあります。<br />
受容体やトランスポータなど特定の分子を画像化する放射性薬剤は、そのターゲット分子に結合する（特異的結合といいます）以外に、弱い結合ながらターゲット分子以外のさまざまな分子にも結合します（非特異的結合といいます）。上に述べたドパミン系神経伝達機構のイメージングにおいても、線条体の放射能集積には特異的集積以外に非特異的集積が含まれ、定量化するためには補正が必要です。そのためによく用いられるのが、ターゲット分子が存在しない参照領域（reference region）です。ドパミン系神経伝達機構は小脳には存在しないので、ドパミン系のイメージングでは小脳の放射能は非特異的結合を表します。そこで、小脳を参照領域とし、線条体の放射能集積と小脳の放射能集積との差や比から、線条体の特異的結合すなわちドパミン系の節前や節後の機能を評価することができます（注１，２）。<br />
<br />
（２）中枢性ベンゾジアゼピン受容体のイメージング<br />
ベンゾジアゼピン受容体（正確には中枢性ベンゾジアゼピン受容体）は脳細胞の本体の表面に広く分布しているので、123I-IMZや11C-FMZで画像化すると、傷害されていない脳細胞体の分布がわかります。<br />
脳血管障害で血流が低下したり、あるいは脳梗塞の遠隔効果（注３）によって代謝や血流が低下しても、脳細胞体が傷害されていなければベンゾジアゼピン受容体が残っているので、123I-IMZや11C-FMZで正常に描出されます。<br />
てんかんでは、焦点と呼ばれる異常な発火の発生源でベンゾジアゼピン受容体が低下することが知られており、焦点を検出するのに有用です。焦点では、代謝や血流が、発作の無い時期に低下し、発作中には増加するので、代謝や血流のイメージングでも焦点を描出できます。しかし、代謝や血流の異常は焦点を含む広い領域でみられるのに対し、ベンゾジアゼピン受容体は焦点の狭い領域でのみ低下するので、より正確に焦点を描出できるとされています。<br />
<br />
（３）ベータアミロイドのイメージング<br />
ベータアミロイドは、アルツハイマー病などにおいて脳に蓄積するたんぱく質で、脳細胞が壊れてでき、また、それ自体毒性があってアルツハイマー病における脳細胞の破壊に寄与します。そこで、上の表のように、アミロイドに結合する物質を放射性同位元素で標識した放射性薬剤がいくつも考案され、治験や研究などで用いられています。<br />
アルツハイマー病では、発病の何年も前から脳にアミロイドが蓄積することが知られており、物忘れを訴える患者が年齢相応なのかそれともアルツハイマー病の初期なのかを鑑別するのに役立ちます。また、認知症をきたす疾患としてアルツハイマー病以外に前頭側頭葉変性症などがあり、鑑別が難しいこともありますが、後者ではアミロイドが蓄積しないので、アミロイドのイメージングを用いてアルツハイマー病と前頭側頭葉変性症を鑑別することができ、患者にとって適切な治療を選択することができます。<br />
アルツハイマー病の治療薬としてアミロイドを溶かす薬が開発されつつありますが、その治療薬が効いているかどうかをアミロイドのイメージングで確認することもできます。<br />
<br />
<br />
注１）　放射性薬剤の集積が特異的かどうか（放射能集積のうち何％が特異的か）を見る方法として、飽和性を調べる方法がよく用いられます。ターゲットとなる受容体などの分子はごくわずかな量しか存在しないので、放射性薬剤を物質として大量に投与すると（すなわち比放射能を下げると）、放射性同位元素の大部分はターゲット分子に結合せず、特異的集積が著名に低下します。これに対して、非特異的結合の相手となる分子は大量に存在するので、飽和がおこらず、非特異的集積は影響をうけません。（比放射能を下げるためには、実際には同じ化合物で非放射性のものを大量に混ぜて投与します。）<br />
もう一つの方法として、競合や阻害をみる方法があります。そのターゲットに結合することが知られる薬を投与すると、ターゲットが占拠されたり放射性薬剤がターゲットに結合するのと競合するため、放射性薬剤の特異的集積が低下します。その際、非特異的集積はもちろん影響を受けません。<br />
放射性薬剤の集積が特異的であることは、通常ヒトに投与する前の段階で、すなわち試験管の中であるいは動物実験で確認しますが、動物とヒトは種差のために挙動が異なる場合もあります。<br />
<br />
注２）　放射性薬剤の集積が特異的かどうかに加えて、それが「選択的」がどうかも重要です。受容体Aを画像化する目的の放射性薬剤がよく似た受容体Bにも結合する場合には、放射能集積が受容体AとBの両方を反映し、選択性が低いということになります。これを明らかにするためには、受容体Aあるいは受容体Bだけを阻害（ブロック）する薬を投与したときの放射性薬剤の集積の変化から確認することができます。これも、通常はヒトに投与する前の段階で、試験管の中であるいは動物実験で確認します。<br />
<br />
注３）　遠隔効果については、本シリーズ第２４回の注８と本文を参照。 </p>
<p>&nbsp;</p>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>第24回  脳の血流と代謝のイメージング</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.asca-co.com/nuclear/2010/04/post-26.html" />
    <id>tag:www.asca-co.com,2010:/nuclear//3.296</id>

    <published>2010-04-16T06:14:03Z</published>
    <updated>2010-09-14T09:34:48Z</updated>

    <summary><![CDATA[&nbsp;脳の動脈が閉塞して血流が低下する疾患では、脳血流のイメージングにより...]]></summary>
    <author>
        <name>アスカコーポレーション</name>
        <uri>http://www.asca-co.com/mt/mt-cp.cgi?__mode=view&amp;blog_id=3&amp;id=1</uri>
    </author>
    
        <category term="ミスターPET核医学教室" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.asca-co.com/nuclear/">
        <![CDATA[<p>&nbsp;</p><p>脳の動脈が閉塞して血流が低下する疾患では、脳血流のイメージングにより直接病態が明らかになります。また、脳はブドウ糖を酸素（O2）で燃やして（代謝して）エネルギーを得て活動しますが、活動が盛んなところは血流が増加し、活動が低下しているところは血流も低下するという特徴があります。したがって、動脈閉塞以外の疾患においても、脳の血流あるいはブドウ糖代謝や酸素代謝を見れば、脳の一般的活動の分布を画像化することができます。<br />
表に、脳の血流や代謝をイメージングする主なSPECT用およびPET用の放射性薬剤をあげます。</p>
<p><span lang="EN-US" style="font-size: 10.5pt; font-family: Century;"><v:shapetype coordsize="21600,21600" o:spt="75" o:preferrelative="t" path="m@4@5l@4@11@9@11@9@5xe" filled="f" stroked="f" id="_x0000_t75">&nbsp;<img width="385" height="198" src="http://www.asca-co.com/nuclear/24%E5%9B%9E.jpg" alt="24回.jpg" class="mt-image-none" /><span lang="EN-US" style="font-size: 10.5pt; font-family: Century;"><v:shapetype coordsize="21600,21600" o:spt="75" o:preferrelative="t" path="m@4@5l@4@11@9@11@9@5xe" filled="f" stroked="f" id="_x0000_t75">&nbsp;</v:shapetype></span></v:shapetype></span></p>
<p>脳血流を評価するSPECT用放射性薬剤は、血流に応じてその部位に取り込まれて滞留する「捕獲型」と、脳に入った後で血流によって洗い出される「拡散型」がありますが、前者が主流です。<br />
123I-IMP、99mTc-HMPAO、99mTc-ECDは、捕獲型のSPECT用脳血流製剤です（注１）。いずれも脂溶性で大部分が血液脳関門（注２）を通過して脳組織に入った後、123I-IMPは脳細胞の受容体に結合して滞留し、99mTc-HMPAOと99mTc-ECDは脳内で分解され99mTcが水溶性化合物となって滞留します。捕獲型は投与時の脳血流分布を投与後に時間をかけて撮影できるので、カウントを稼いだ良好な画像が得られ、後で述べるように負荷試験もできます。しかし、血流が多い部位では100%は取り込まれず（とくに99mTc-HMPAOと99mTc-ECDは高血流域で摂取率が低下します）、また123I-IMPは静脈注射後肺に一時滞留してから脳へ行くため脳の放射能の立ち上がりが緩徐でしかもさらに時間がたつと脳の受容体から解離し脳からゆっくり出て行くので、血流量の定量的測定は容易ではありません（注３）。さらに萎縮によって脳の体積が減少すると、脳の体積あたりの血流は変わらなくても部分容積効果（注４）によって画像上放射能集積が低下します。<br />
133Xe（キセノン-133）は不活性ガスで、拡散型のSPECT用脳血流製剤です。133Xeの吸入または生理食塩水に溶かしたものを静脈注射後、脳のダイナミックスキャンを行い、脳から洗い出される速度定数を測定すると、それがすなわち脳血流値となります。しかしダイナミックスキャンで十分なカウントを稼ぐことができないため、画質が悪く、誤差も大きくなるので、あまり使われません。<br />
一方PETで脳血流を測定する場合は、15O標識の二酸化炭素ガス（C15O2）の吸入または水（H215O）の静脈注射が用いられます。C15O2は肺の毛細血管内でH215Oに変わるので、両者は同じことになります。H215Oは拡散型の放射性薬剤で脳における挙動を数式で表現でき、PETカメラは定量性もよいので、定量を重視する場合や次に述べる酸素代謝とあわせて測定したい場合に用いられます。ただし、拡散型といっても15Oは半減期が極めて短くて（2分）速やかに減衰し、撮像に寄与するのは主として流入の部分なので、事実上は洗い出しではなく流入の多寡で血流を測定していることになります。具体的には、C15O2 の持続吸入による平衡法や、オートラジオグラフィー法が用いられます（注５）。<br />
脳の酸素代謝のイメージングには15O標識の酸素ガス（15O2）が用いられます。15O2は脳にて酸素が多く使われるところに多く取り込まれるので、放射能分布が酸素代謝を反映します。しかし、脳に取り込まれた後H215Oに変わって血流に応じて洗い出され、おまけに全身臓器で代謝されて生成されたH215Oが再循環して脳に入るので、別にC15O2またはH215Oのデータによる補正が必要です。また脳組織に摂取されずに血管内にある15O2が無視できないので、血液量を画像化する15O標識一酸化炭素ガス（C15O）のデータによる補正も必要です。そこで、通常は、C15O2, 15O2, C15Oの３種類のガスを順に吸入させてPET撮像と動脈採血を行い、脳血流量、酸素消費量、酸素摂取率（注６）および血液量という４種類のパラメトリックイメージをセットで作成することが行われます。なお、この検査は、PET実施施設のなかでもごく限られた施設でのみ行われています。<br />
脳のブドウ糖代謝はFDGによって画像化されます（本シリーズ第１８回参照）。FDG投与後45分程度経過すると放射能の分布が糖代謝を反映し、しかも放射能は洗い出されない（FDGは徐々に蓄積し、半減期も２時間でゆっくり減衰する）ので、時間をかけて良好な画像を撮影できます。また、経時動脈採血して血中FDG濃度を測定すれば、脳のブドウ糖消費速度を定量することもできます（注７）。</p>
<p>次に、脳の主な疾患で、核医学による脳血流のイメージングが臨床的にどのように用いられるかを簡単に説明します。<br />
（１）脳血管障害とくに脳動脈閉塞症<br />
脳の動脈が動脈硬化になり血管の内腔（ないくう＝管の中）が狭くなったり、血栓（けっせん＝血液が固まったもの）によって詰まったりすると（脳動脈閉塞症）、その先の部位への酸素や栄養分の供給が低下します。血流が足りなくなるとまず虚血（きょけつ）という状態になって脳のはたらきが低下し、さらに進むと梗塞（こうそく）といってその部分の脳組織が死んでしまいます。<br />
脳動脈閉塞症の初期には、病変のある血管が狭くなります（灌流圧が低下します）が、その先（支配領域）の細い血管が拡張して抵抗を減らすため、血流は低下しません。したがって、安静時脳血流SPECTでは異常がわかりません。そこで、負荷脳血流SPECTといって、脳の血管を拡張させる薬であるアセタゾラミドを注射してから脳血流SPECTを行うと、正常な部位では血流が増加しますが、閉塞動脈の支配領域ではすでに細い血管が拡張していてそれ以上拡張しないので、血流があまり増えず、画像上、明瞭な差が現れます（負荷による血流増加を「脳循環予備能」と言います）。<br />
脳動脈閉塞症が進むと「虚血」の状態になり、安静時脳血流SPECTやPETで血流の低下として現れます。しかし、脳細胞は死んでいないので、脳の代謝は保たれており、脳の働きも保たれています（一過性脳虚血発作といって一過性に麻痺（まひ）などの症状が出ることがありますが可逆的です）。脳の代謝が保たれているので、PETで糖代謝や酸素代謝を画像化すれば低下していないことがわかります。とくにPETで酸素摂取率（注６）を測定すると高値を呈するのが特徴です。この状態が続くと、あるいはさらに血流が低下すると、脳組織が死滅し、非可逆的な脳梗塞となります。したがって、脳の虚血があれば血行再建手術などによる治療が行われることが多いです。<br />
脳梗塞はMRIやX線CTでも明瞭に画像化されます。PETやSPECTの血流画像では梗塞部は血流がほとんどゼロですが、しばしばその周囲に梗塞に至っていない虚血部が血流低下部位として描出されます。なお、脳細胞の死滅がかたまりでなくばらばらと脱落するようにおこると、血流と代謝が平行して低下し、形の上では萎縮となって現れます。<br />
脳梗塞部から離れていて梗塞も虚血も無いが、機能的に梗塞部と関係が深い部位が、いわば巻き添えを食って働きが低下すると、血流や代謝の低下を呈することがあり、「遠隔効果」といいます（注８）。</p>
<p>（２）脳の変性疾患（アルツハイマー病など）<br />
変性疾患とは、血管障害ではないが脳細胞の働きが低下しさらに死滅し脱落してゆく疾患群で、多くは原因不明です。たとえばアルツハイマー病では後部帯状回、楔前（せつぜん）部、頭頂葉、側頭葉といった領域にて血流や代謝が低下するというように、疾患によって特徴的パターンを呈するので、鑑別診断や早期診断に役立ちます。<br />
変性疾患では最初に脳の活動が低下するため糖代謝の低下が顕著でしかも早期から見られます。FDGによるPETが診断に有用ですが、脳血流SPECTも役立ちます。</p>
<p>（３）てんかん<br />
てんかんは脳内の焦点と呼ばれる部位で異常な神経細胞の発火が起こり、それが周囲にも伝わって、けいれんなどのさまざまな症状が出る病気です。薬で発作がおさまればよいのですが、おさまらないときは、焦点を手術で切除する必要がありますが、焦点がどこであるかは、通常の表面脳波検査ではわからず、MRIでも形態異常が無くてなかなかわからないことがあります。そこで、脳血流SPECTやFDG-PET画像をとると、焦点とその周辺部が発作間欠期には血流や代謝の低下として描出されます。とくにFDG-PETが側頭葉型てんかんの焦点検出に優れます。逆に、発作時には焦点の血流が増えるので、患者を観察しながら発作時に脳血流SPECT製剤を注射することによって発作時の脳血流を撮像すると、焦点が高血流領域として描出されます。</p>
<p><br />
注１）　フルネームは、123I-IMPはN-isopropyl-p-[123I]iodoamphetamineというアミン、99mTc-HMPAOは[99mTc]hexamethyl propyleneamine oxime、99mTc-ECDは[99mTc]L,L-ethyl cysteinate dimerというエステルです。123I-IMPはヨードアンフェタミンとも呼びますが、これも略称です。</p>
<p>注２）　血液と脳組織の間には血液脳関門（blood brain barrier）と呼ばれる「関所」があり、一般に脂肪によく解ける物質は通過しやすく、水溶性の物質は通りにくいという特徴があります。</p>
<p>注３）　捕獲型の放射性薬剤で血流を定量する場合は、何らかの方法で入力関数（本シリーズ第１９回参照）。を測定するか推定し、マイクロスフェア法（脳に入ったきり出てゆかないと仮定して式を立てる）やオートラジオグラフィー法（脳に入った後で出てゆくとして式を立てる。注５）などを用いて血流を計算します。ただ、SPECTカメラの物理学的定量性自体がPETほどにはよくないこともあって、SPECTでの脳血流の定量測定は負荷試験などとくに必要な場合以外はあまり行われていません。</p>
<p>注４）　部分容積効果については本シリーズ第１７回の注４。</p>
<p>注５）　平衡法は本シリーズ第２１回の注３と注４参照。また、オートラジオグラフィ法とは一般に１時点の撮像データから１つの未知数を求める方法を言いますが、脳血流の測定ではいわゆる２Ｋモデル（本シリーズ第２０回の図３）にて、K1＝血流（未知数）、K1/k2＝分配係数（既知）とし、実測か推定した入力関数を用いて、K1と脳の放射能との対照表（look-up table）を計算しておき、それを用いてPET画像の画素値を血流値に換算します。なお、「オートラジオグラフィー」とは、動物に放射性薬剤を投与し、屠殺して作成した切片をフィルムにあてて感光させ、切片の放射性同位元素の分布を画像化する方法を言います。PETやSPECTはいわば生きている人間でオートラジオグラフィーができるので「インビボ・オートラジオグラフィー」と呼ばれることがあります。</p>
<p>注６）　酸素摂取率は、供給された酸素のうち何％が使われているかという酸素の需給をあらわす指標です。酸素消費量＝血流&times;動脈血中の酸素含量&times;酸素摂取率　という関係があります。</p>
<p>注７）　FDGによる脳のブドウ糖代謝の定量的測定には、3Kあるいは4Kモデルが用いられます。スタティックスキャンによるオートラジオグラフィー法、ダイナミックスキャンによるカーブフィッティング法、パトラックプロットなどが用いられます。</p>
<p>注８）　片側の大脳の梗塞によって反対側の小脳の血流が低下する「crossed cerebellar diaschisis」が有名です。また、大脳の深部の小梗塞によって同側の大脳皮質の血流や代謝が広汎に低下することもあります。</p>
<p>&nbsp;</p>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>第23回 診断精度の指標とROC</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.asca-co.com/nuclear/2010/03/post-25.html" />
    <id>tag:www.asca-co.com,2010:/nuclear//3.288</id>

    <published>2010-03-04T07:17:19Z</published>
    <updated>2010-09-14T09:35:07Z</updated>

    <summary><![CDATA[&nbsp;今回は、核医学のテーマではなく、検査結果に基づいて患者がある疾患かそ...]]></summary>
    <author>
        <name>アスカコーポレーション</name>
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    </author>
    
        <category term="ミスターPET核医学教室" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.asca-co.com/nuclear/">
        <![CDATA[<p>&nbsp;</p><p>今回は、核医学のテーマではなく、検査結果に基づいて患者がある疾患かそうでないかを鑑別する際の、検査の診断精度の指標について説明します。とくに検査結果が数値やスコアで得られる場合はROCと呼ばれる手法が用いられます。ROCはあらゆる医学研究で用いられる基本的な手法ですが、核医学の文献ではきわめて頻繁に登場します。</p>
<p>ある病気の可能性がある一群の患者に対して検査を行い、ある基準（判定基準）に基づいて、その病気と考えられるか（検査陽性）、そうでないか（検査陰性）を診断するとします（注１）。さらに各患者が本当にその病気かそうでないか、何らかの方法で正解を突き止めます（正解を参照基準データなどといいます）。検査結果と正解によって、下表の二重線の枠内のように患者を分類します。</p>
<p>&nbsp;</p>
<table width="571" cellspacing="0" cellpadding="0" border="1" valign="top">
    <tbody>
        <tr>
            <td width="10%" bordercolor="#000000">
            <p>&nbsp;</p>
            </td>
            <td width="22%" bordercolor="#000000">
            <p style="text-align: center;">本当はその病気</p>
            </td>
            <td width="22%" bordercolor="#000000">
            <p style="text-align: center;">本当はその病気でない</p>
            </td>
            <td width="10%" bordercolor="#000000">
            <p style="text-align: center;">計</p>
            </td>
            <td width="20%">
            <p>&nbsp;</p>
            </td>
            <td>
            <p>&nbsp;</p>
            </td>
        </tr>
        <tr>
            <td width="10%" bordercolor="#000000">
            <p style="text-align: center;">検査陽性</p>
            </td>
            <td width="22%" bordercolor="#000000">
            <p style="text-align: center;">真陽性</p>
            </td>
            <td width="22%" bordercolor="#000000">
            <p style="text-align: center;">偽陽性</p>
            </td>
            <td width="10%" bordercolor="#000000">
            <p style="text-align: center;">陽性数</p>
            </td>
            <td width="137" bgcolor="#ffff99">
            <p>&nbsp;陽性適中率＝<br />
            &nbsp;真陽性数／陽性数</p>
            </td>
            <td width="87" bgcolor="#99ffff" rowspan="2">&nbsp;陽性率＝<br />
            &nbsp;陽性数／総数</td>
        </tr>
        <tr>
            <td width="10%" bordercolor="#000000">
            <p style="text-align: center;">検査陰性</p>
            </td>
            <td width="10%" bordercolor="#000000">
            <p style="text-align: center;">偽陰性</p>
            </td>
            <td width="10%" bordercolor="#000000">
            <p style="text-align: center;">真陰性</p>
            </td>
            <td width="10%" bordercolor="#000000">
            <p style="text-align: center;">陰性数</p>
            </td>
            <td width="137" bgcolor="#ffff99">
            <p>&nbsp;陰性適中率＝<br />
            &nbsp;真陰性数／陰性数</p>
            </td>
        </tr>
        <tr>
            <td width="10%" bordercolor="#000000">
            <p style="text-align: center;">計</p>
            </td>
            <td width="10%" bordercolor="#000000">
            <p style="text-align: center;">病者数</p>
            </td>
            <td width="10%" bordercolor="#000000">
            <p style="text-align: center;">非病者数</p>
            </td>
            <td width="10%" bordercolor="#000000">
            <p style="text-align: center;">総数</p>
            </td>
            <td width="137">
            <p>&nbsp;</p>
            </td>
            <td width="87">
            <p>&nbsp;</p>
            </td>
        </tr>
        <tr>
            <td width="43">
            <p>&nbsp;</p>
            </td>
            <td width="112" bgcolor="#ffff99">
            <p>&nbsp;感度＝<br />
            &nbsp;真陽性数／病者数</p>
            </td>
            <td width="112" bgcolor="#ffff99">
            <p>&nbsp;特異度＝<br />
            &nbsp;真陰性数／非病者数</p>
            </td>
            <td width="48">
            <p>&nbsp;</p>
            </td>
            <td width="137" bgcolor="#ffff99">
            <p>&nbsp;正診率＝<br />
            （真陽性数＋真陰性数）／総数</p>
            </td>
            <td width="87">
            <p>&nbsp;</p>
            </td>
        </tr>
        <tr>
            <td width="43">
            <p>&nbsp;</p>
            </td>
            <td width="256" bgcolor="#99ffff" colspan="2">&nbsp;有病率＝病者数／総数</td>
            <td width="137">
            <p>&nbsp;</p>
            </td>
            <td width="87">
            <p>&nbsp;</p>
            </td>
            <td>
            <p>&nbsp;</p>
            </td>
        </tr>
    </tbody>
</table>
<p>&nbsp;</p>
<p>表：検査結果と正解との関係。黄色は診断精度として通常用いられる５つの指標。<br />
青は診断精度の指標ではないが、データを解釈する上で重要な指標。<br />
&nbsp;</p>
<p>真陽性は検査で正しく陽性であった人、真陰性は正しく陰性であった人、偽陽性は誤って陽性であった人（見過ぎ）、偽陰性は誤って陰性であった人（見落とし）です。これらに基づいて、感度、特異度、陽性適中率、陰性適中率、正診率という５つの診断精度の指標が計算されます（注２）。感度とは病者を正しく陽性と言えた割合、特異度とは非病者を正しく陰性と言えた割合、陽性適中率とは陽性者が正しく病気であった割合、陰性適中率とは陰性者が正しく非病気であった割合、正診率とは総数のうち正しかった割合です。感度が高ければ見落としが少なく、特異度が高ければ見過ぎが少ない検査であるといえます。また、陽性適中率の高い検査で陽性と出ればその病気である可能性がきわめて高く、陰性適中率の高い検査で陰性と出ればその病気はほぼ否定できます（注３）。</p>
<p>核医学では、検査の結果が数値で出ることが多いので、判定基準としてある値（カットオフ値、閾値）を設け、カットオフ値以上なら陽性、未満なら陰性と判定します（注４）（上下が逆になる場合もあります）。カットオフ値を低く設定すれば感度が高く特異度が低くなり（見過ぎが増えるが見落としが減る）、カットオフ値を高く設定すれば感度が低く特異度が高くなります。カットオフ値を非常に低いところ（感度＝１、特異度＝０）から始めて順に高くしてゆき、非常に高いところまで（感度＝０、特異度＝１）まで変化させ、感度と特異度がどのように変わるかをグラフに表したものを、ROC（receiver operating characteristic）曲線といいます（下図）。ROCは右上と左下を結ぶ折れ線で、ROCの下の面積（AUC：area under curve）が大きいほど診断精度の高い検査であるといえます（注５）。もし百発百中の検査なら左上隅の点（感度＝特異度＝１）を通ります。また、もし全く診断情報を与えない検査なら対角線となります。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>&nbsp;</p>
<p style="text-align: center;"><img style="width: 461px; height: 318px;" class="mt-image-none" src="http://www.asca-co.com/nuclear/2.jpg" alt="2.jpg" /></p>
<p>&nbsp;</p>
<p>図：左の図は、「その病気」と「その病気でない」（非病気）の患者群それぞれにおける、検査ＡとＢの値の分布。検査Ａのほうがよりよく鑑別診断できる。右は、このデータから作成されたROC曲線で、検査Ａのほうが検査Ｂよりも左上に位置し、曲線下面積も大きい。<br />
&nbsp;</p>
<p>実際の診断においてカットオフ値をいくらにするのがよいかは、かなり難しい問題で、医療の場においてどのような場合にその検査が実施されるかを考慮する必要があります。一般には、誤診した場合の病気の悪化、検査や治療の副作用や費用といった損害を考慮して決めます。たとえば、スクリーニング的に行う検査であってもし陽性なら精密検査に進む予定であれば、見過ぎた場合に不必要な精密検査をする損害よりも、見落とした場合に患者が来なくなって手遅れになる損害のほうが大きいと考えて、カットオフ値を下げることによって、特異度を下げても感度を上げるようにすることが多いです。一方、治療を開始するための検査では、見過ぎによって不必要な手術や投薬をする損害がむしろ大きく、見落としても経過観察すれば手遅れにならないと考えて、カットオフ値を上げることによって、感度を下げても特異度を上げるようにすることが多いようです。後で述べる有病率を考慮して、陽性適中率と陰性適中率から誤診による損害を推定する方法もあります。なお、感度と特異度の両方を同程度に重視する場合には、カットオフ値の決め方として、「感度＋特異度」が最大になる（ROCで最も左上に位置する）点を採用する方法がよく用いられます。また、(１－感度)<sup>２</sup>＋(１－特異度)<sup>２</sup>が最小になる（左上隅から最も近い）点も用いられます。</p>
<p>診断精度を評価するうえで忘れてはならないのは、対象者がどのように選ばれているかです。「病者」であれ「非病者」であれ典型例ばかりならば診断しやすく、当然感度も特異度も高くなると考えられるからです。しかしそのような症例は検査するまでもなく診断がつくので、検査が依頼されないかもしれません（注６）。文献に記載されている感度や特異度やROCを比較する際には、対象者の選択基準を見きわめる必要があります。</p>
<p>診断精度の評価にあたっては、有病率（prevalence）すなわち対象者のうち真にその病気の人が何％いるかも重要です（上の表）。有病率も、対象者をどのように決めるか、すなわちどのような患者が何の目的でその検査を受けるかによって変わります（注６）。陽性適中率や陰性適中率は、感度や特異度が同じでも有病率によって大きく影響を受け、有病率が高い場合には陽性適中率が高くなり、有病率が低い場合には陽性適中率が低くなります（注７）。たとえば、同じFDG-PET検査でFDGの異常集積が見られても、がんの手術後腫瘍マーカーが上昇した患者であれば再発の可能性がきわめて大きいですが、がん検診を受診した健康な人であればそれが癌である可能性は意外に低いものです。</p>
<p>医学研究によっては、はじめに対象者を決めるのではなくて、まず正解を調べて「病気」の人と「非病気」の人をそれぞれたとえば20人ずつ選び出し、それからカルテを取り出して検査結果を調べる（または改めて各患者に検査を実施する）という方式で研究がなされることがあります。このようなやりかたをケースコントロールスタディといい、「病者」と「非病者」の割合がアンバランスにならない利点があり、とくに珍しい病気を調査研究する場合に有用です。しかし有病率がいくらになるか、データからはわかりません。また対象者を選び出すときに、バイアスがかかる危険が大きくなります（注８）。</p>
<p>最後に診断精度のデータを見る上で忘れてはならない点を再確認します。第一に、対象者の選択にバイアスがかかっていないか？　典型的な例ばかり選んでいないか？　第二に、正解はどのようにして得たか？　手術か？　経過観察ならその期間は？　精密検査ならどのような検査か？　それで正解がわかるか？<br />
&nbsp;</p>
<p>注１）　たとえば、肺に陰影のある患者に対してFDGによるPET検査を行い悪性か良性かを鑑別する。あるいは、物忘れを訴える患者がアルツハイマー病か、そうではなくて別の疾患または年齢相応か、鑑別するために脳血流SPECT検査を行う、といったケースです。</p>
<p>注２）　英語では以下のように言います。真陽性（true positive, TP）、真陰性（true negative, TN）、偽陽性（false positive, FP）、偽陰性（false negative, FN）。診断精度の指標は、感度（sensitivity）、特異度（specificity）、陽性適中率（positive predictive value, PPV）、陰性適中率（negative predictive value, NPV）、正診率（accuracy）。なお、accuracyという言葉は、これら５つの指標を総称した診断精度（diagnostic accuracy）という意味でも用いられるので注意が必要です。</p>
<p>注３）　尤度（ゆうど）比（likelihood ratio）も診断精度の指標として用いられます。尤度比は感度と特異度を組み合わせた指標です。</p>
<p>陽性尤度比＝感度／（１－特異度）＝（真陽性数／病者数）／（偽陽性数／非病者数）。<br />
陰性尤度比＝（１－感度）／特異度＝（偽陰性数／病者数）／（真陰性数／非病者数）。</p>
<p>さらに、オッズ比やリスク比（相対リスク）も用いられます。</p>
<p>オッズ比＝陽性尤度比／陰性尤度比＝（真陽性数／偽陰性数）／（偽陽性数／真陰性数）。<br />
（陽性の）リスク比あるいは相対リスク＝陽性適中率／（１－陰性適中率）。</p>
<p>注４）　たとえば、FDG-PETによる肺陰影の良悪鑑別では、病変へのFDG集積をSUV値あるいは参照領域との比で表すことによって、検査結果が数値化されます。アルツハイマー病の診断のための脳SPECT検査では、統計画像解析（本シリーズ第２２回参照）にて、アルツハイマー病で通常低下する部位におけるＺ値を計算することによって、検査結果が数値化されます。また、数値化せずに医師が視覚的に読影判定する場合でも、結果をスコアで５～１の５段階評価（強く疑われる、疑われる、どちらともいえない、どちらかといえば否定的である、否定的である）すれば、同様の扱いができます。なお、これらの数値やスコアは、値が１増えればつねに病気の可能性も同じだけ増える（ように数値化されている）必要はありません。</p>
<p>注５）　ROCの下の面積（AUC）は、「病気」の患者群から１人、「非病気」の患者群から１人、それぞれランダムに選んだとき、「病気」の人の検査値が「非病気」の人の検査値よりも大きくなる確率に等しくなります。百発百中ならAUC＝1, 対角線ならAUC＝0.5です。</p>
<p>注６）　物忘れを訴える患者がアルツハイマー病かどうかを脳SPECT検査で診断する場合には、そもそも、まずどの程度の物忘れ患者が医師を受診するかを考える必要があります。次に、神経内科や精神科の医師が診察して明らかにアルツハイマー病または明らかに正常なら普通は脳SPECT検査が依頼されないと考えられますが、「念のために」依頼されることがあるかもしれません。このほか、その検査がその病院でできるか、すぐにできるか、さらには患者の費用負担がいくらになるか、といった医学以外の要素も検査が依頼されるかどうかに影響します。また、診療でなく研究として検査を行う場合には、対象者は研究への参加に応じ同意が得られる患者に限られます。アルツハイマー病は正解を突き止めることが難しいので、対象者中に真のアルツハイマー病がどれだけいるかは常に難しい問題です。</p>
<p>注７）　陽性適中率＝有病率&times;感度／陽性率です。また、陽性率＝有病率&times;感度＋（１－有病率）&times;（１－特異度）です。たとえば、感度が90%、特異度が80%の検査でも、有病率が50%なら陽性適中率は82%ですが、有病率が1%なら陽性適中率は4%に過ぎません。この関係は数学では「ベイズの定理」と呼ばれます。ベイズの定理では、有病率は事前確率、陽性適中率は事後確率と呼ばれ、検査前には病気である確率＝有病率だったのが、検査後陽性であることがわかった後は、病気である確率＝陽性適中率にまで上昇することを言っています。同じ内容をオッズ（病気ありなしの比）で表現すると、検査前オッズ＝有病率／（１－有病率）、検査陽性後オッズ＝陽性適中率／（１－陽性適中率）、と定義して、検査陽性後オッズ＝検査前オッズ&times;陽性尤度比、となります。</p>
<p>注８）　感度、特異度、尤度比、オッズ比、ROC（AUC）は、有病率に依存しません。したがって、ケースコントロールスタディでも使われますが、対象者の選択基準とバイアスには十分気をつける必要があります。</p>
<p>&nbsp;</p>]]>
        
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    <title>第22回 脳画像の解剖学的標準化と統計画像</title>
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    <published>2010-01-29T05:08:34Z</published>
    <updated>2010-01-29T05:11:56Z</updated>

    <summary>個々の患者や健常者の脳PETやSPECT画像をコンピュータの上で変形させて、テン...</summary>
    <author>
        <name>アスカコーポレーション</name>
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        <category term="ミスターPET核医学教室" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.asca-co.com/nuclear/">
        <![CDATA[<p>個々の患者や健常者の脳PETやSPECT画像をコンピュータの上で変形させて、テンプレートと呼ばれる標準となる脳画像に合わせ込むことを、脳画像の解剖学的標準化（anatomical standardization）または空間的標準化（spatial normalization）と言います。解剖学的標準化によって、異なる人の脳の対応する部位が標準脳画像上で同じ画素位置となるため、多くの人の脳画像を同じ土俵上で画素毎に比較することができます。解剖学的標準化の手法（ソフトウエア）としては、「3D-SSP」と「SPM」の２つが有名です（注１）。<br />　異なる人の脳に合わせるのですから、単なる回転移動と平行移動では合わず、レジストレーション処理（本シリーズ第１４回の注２参照）をするだけではうまく行きません。そこで、脳を伸ばしたり縮めたり曲げたりして合わせ込みます（非線型変換と言います）。<br />脳は部位によってその役割が異なり、また病気の種類によって特定の部位の働きが低下するので、PETやSPECTで脳の診断や研究をする際には、脳のどの部位が異常所見を呈しているかを見きわめることが重要です。たとえば、「アルツハイマー病」という高齢者に多い認知症では、後部帯状回、楔前（せつぜん）部、頭頂葉連合野、側頭葉連合野といった部位の血流やブドウ糖代謝が低下し、進行すると前頭葉も低下します。また、別のタイプの認知症である「前頭側頭型認知症」では、文字通り前頭葉と側頭葉が低下します。<br />解剖学的標準化を行うと多くの人の脳画像を同じ土俵上で比較できるため、多数のアルツハイマー病患者と健常者の脳画像をそれぞれ解剖学的標準化し、同じ画素位置の値を２群で比較すると、どの部位（画素）がアルツハイマー病で統計学的に有意に（注２）低下するかを計算し画像化することができます。<br />また、健常者群にてあらかじめ画素毎に健常者の平均と標準偏差（いわば正常レンジ）を計算しておき、ある患者において平均－２ＳＤを下回る画素を表示すれば、有意に低下している部位がわかります。さらに画素毎に、<br />Ｚ値＝（患者の値－正常平均）／正常群の標準偏差　<br />を計算して、その値を表示したものをその患者の統計画像またはＺマップ（ｔマップ）と言います（図）。<br />Ｚマップもいわゆるパラメトリックイメージです（本シリーズ第２１回参照）。一般に画素値として上記のＺ値のようにデータから計算された統計学的に意味のある値（統計量という）を持つパラメトリックイメージを、広い意味で統計画像と言うこともあります。</p><span style="display: inline;" class="mt-enclosure mt-enclosure-image"><img style="margin: 0pt auto 20px; text-align: center; display: block; width: 485px; height: 272px;" class="mt-image-center" src="http://www.asca-co.com/nuclear/22.jpg" alt="22.jpg" /></span><p>　　　<br />図：上段は、物忘れを訴える患者のFDGによる脳PET画像で４断面示してある。<br />下段は、それを3D-SSPにて解剖学的標準化した画像と、正常群と比較した統計画像（Z-map）。3D-SSPは脳を８方向から見て二次元投影表示した画像で、大脳皮質の状態がよくわかる。この患者は、後部帯状回、楔前部、頭頂葉、側頭葉の糖代謝の低下が認められ、アルツハイマー病が疑われる。<br /><br />解剖学的標準化は、患者の画像のどの画素が脳のどの部位に相当するかをコンピュータが決めるので、自動的にＲＯＩをとる行為と似ています。しかし、ＲＯＩと異なり、画素毎に対応を付ける点が特徴的です。ＲＯＩは医師が目で見て設定することもでき，それがもっとも正確であるとも言えますが、解剖学的標準化を用いれば客観的かつ自動的に、しかも画素毎に、どこがどの部位であるかを決めることができるので、結果を数値の表ではなく、パラメトリックイメージの形で画像化することができるわけです。<br />解剖学的標準化で注意すべき点は、患者によっては標準化がうまく行かず、標準脳に合わない場合があるということです。その場合は、対応しない脳の部位を画素毎に比較することになるので、統計画像に誤差やアーチファクトが現れ、正確な診断や解析ができません。統計画像を見るときはつねに標準化のエラーの可能性を念頭に置く必要があります。<br /><br /><br />注１）　3D-SSPはもともとアルツハイマー病の診断や研究を意図して開発された手法で、大脳皮質の低下域を明らかにすることを念頭においているのに対し、SPMはもともと脳賦活検査（注３）における賦活域を明らかにするために開発されたため、合わせ方に若干違いがありますが、まず、三次元的に患者の脳を標準脳に合わせます。3D-SSPではさらに、大脳皮質がよくわかるように、８方向に投影させた二次元画像を作成します。（図参照）<br /><br />注２）２つの群の平均の差が、ばらつき（個人差）に比べて十分大きい場合に、２群に有意差があると言います。その際にデータに添えてよく記載される「ｐ値」とは、本当は差が無いにもかかわらずデータがばらつくために現在観察される程度の差が偶然見られる確率のことです。「ｐ＜0.05」とはその確率が５％未満である、すなわち本当に差がある可能性が大きいことを意味します。<br /><br />注３）解剖学的標準化は脳の機能分化を研究するためにも用いられます。脳は、部位によって役割が異なり、たとえば手足を動かす働きは左右反対側の運動野と呼ばれる部位で、視覚は後方の後頭葉と呼ばれる部位で、それぞれつかさどられています（機能的に分化しているという）。しかも、運動野も、顔や口は下方、手は上方、足は最上方から内側にかけてというように、身体のどの部分が脳のどこに対応するかまで決まっています（ソマトトピーという）。脳梗塞（こうそく）で脳の一部がこわれると、場所によって手が麻痺したり目が見えなくなるのは、そのためです。脳のどこがどのような働きを担っているかは、重要な研究テーマとなっています。脳は働いているところの血流や代謝が増加するという特徴があるので、健常者を対象に、安静時と課題施行時（手を動かさせたりものを見させたりする）とで脳血流を撮像し、引き算すれば、その課題によって脳のどの部位が働いたか（賦活したか）がわかります。ひとりひとりの賦活部位は個人差があり増加も小さいですが、何人もの人を対象に測定して解剖学的標準化し統計処理すれば、「有意に」賦活される部位を画像化することができます。このようにして、脳の機能分化の地図を作る（マッピングする）手法を脳賦活検査法といいます。<br />&nbsp;</p>]]>
        
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