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ASCA

 第26回:教育は子供のもの?

前回まで「足」を意味するラテン語の pes、ped- の話をしました。

ひょっとすると pediatrics(小児科)という言葉も「足」と関係があるのかと思われるかもしれません(かくいう私自身も一瞬そう思いましたが…)。実は、こちらのほうは、ギリシャ語で「子供」を意味する pais(パイス)という言葉に由来します。ラテン語と同様に、「paid-」という語幹から派生語が作られているわけで、イギリス式の paediatrics のほうが元のギリシャ語の形に近いことになります。ちなみに、後半の「-iatrics」ですが、こうして切り離して書くとお気づきになるかもしれませんが、ギリシャ語で医師、治療者を意味する iatros(イアートロス)に由来します。「医原性」と訳される iatrogenic もこれに由来します。

さて、ギリシャ語で「子供」を意味するpaisは、もう一つ重要な語群を生み出しています。それは教育に関する言葉です。英語で(いまはあまり使わないようですが)「教育者」を意味する pedagogue という言葉があります。これは、「子供を導く者」という意味のギリシャ語に由来して、ここから現在でも「教育(学)」を意味する pedagogy という言葉が生まれました。イギリス式では paedagogy と書くのは、このためです。ギリシャ語では「教育」のことを、やはりpaisを基にしたpaideia(パイデイア)という言葉で表すのですが、これがencyclopedia(百科事典、「encyclo-」は「全般」を意味するギリシャ語に由来)という言葉を生み、「-pedia」が独立して用いられるようになり、今でも「ウィキペディア Wikipedia」のように新しい言葉を生み続けています。「アスカペディア Ascapedia」もこの「ペディア」一族の一員であることは言うまでもありません。

 

参考文献:
『新英和大辞典』(研究社)